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[コメント] エクリプス トワイライト・サーガ(2010/米)

このような原作物、シリーズ物はまずは制作を称えるべきである。時をおかずに次回作が公開され、愛着のあるキャラクターにまた会えるという楽しみはファン冥利に尽きる。
shiono

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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原作小説をすべて読了し、公開を待ち焦がれていた私にとっては、imdbのユーザー評価の貧しさは驚きであった。映画的な完成度は第一作がピークで、回を追うごとに少しずつ低下してはいるのだが、今回は特に表層面での瑕疵は気になるかもしれない。ストーリーは網羅的、撮影は単調だと判断されても仕方ないだろう。

私はまずは脚本を評価したい。クリステン・スチュワートとロバート・パティンソンの堅固な関係性を揺さぶる外的刺激がうまい。フロリダの母、実家の父がいて、分かちがたい絆で結ばれたテイラー・ロートナーの存在がクローズアップされる。繰り返し描かれる男女ペアの挿話が、スチュワートの心理に影響を与える仕掛けもある。

ロートナーら若手俳優も上手いが、演技ではやはりスチュワートが図抜けている。終盤のプロポーズシーンで見せる恥じらいの表情には瞠目した。他の役者がイメージの払底に苦慮することはあっても、彼女はあちこちのプロジェクトに引っ張りだこで、すでに大物としての片鱗を覗かせている。

いわゆる乙女チック狙いのクライマックスシーンも随所にあるが、本来、この物語は単純なラブストーリーではないのだ。ヴァンパイアやウルフマンの伝説には人間の生と死への考察がある。原作の持つそうしたスピリットは会話の端々に現れている。シリアスなリレーションシップドラマが延々と続いた後で、父と娘の避妊の話をライトに演出し、天蓋ベッドでの一夜から明けてスチュワートが指から血を流す、処女喪失の暗喩のような引っ掛け、一作目の野球シーンから転じたアメフトのようなバトルなど、細部にわたる工夫も抜かりがない。

原作はこの先とんでもなく飛躍し、感動的な終幕となるのだが、映画は二部構成でこれに応えてくれることと期待している。シリーズを通したキャストとメリッサ・ローゼンバーグ脚本ならば裏切られまい。

(評価:★4)

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