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[コメント] ファイナル・デッドサーキット 3D(2009/米)

さすがに尺持ちさせることはできず82分という短さだが、随所にウケる部分が満載で楽しめる。ティーン向けのキャスティングだが、今回は殊に女性観客への目配せがあるのも面白い。
shiono

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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前作『ファイナル・デッドコースター』の舞台となる遊園地、これはどちらかというと女の子主導の遊び場所だ。そんな彼女たちを目当てに群がる野郎たちを観客として想定した作りになっていて、主人公はヒロインで、女の子たちの裸もあるという具合。

今回のサーキットはいうまでもなく男臭さの漂うステージである。だからこそ女の子の観客にサービスしなければならない。従って主人公は男性、上半身ヌードを晒すのも男のキャラである。このプールでのニック・ザーノの死に様は、肛門から内臓を吸引されるというグロテスクなもので、排水溝=穴を女性器のメタファーとしてみれば世の男どもは戦慄することだろう。

主人公ボビー・カンポとガールフレンドのシャンテル・ヴァンサンテン(ちょっとジェニファー・ロペス似)は共にテレビドラマがメインの役者さんのようだが、キャリアに恵まれればワンランク上に行けそうなポテンシャルを感じさせる。この二人のエスカレーターシーンにはかなり驚かされた。

あわや転落という人物の腕をがっちり掴む主人公、という構図はこれまで嫌というほど見てきたわけだが、これは文字通り心理的な絆を目に見える形で演出したシーンである。相手が愛するものであれ、敵味方であれ、相手をどうにか引き上げて窮地を脱するか、あるいは力及ばず奈落の底に吸い込まれてしまうか、その結末はいつも二者択一だった。

それがなんとこの映画では、手と手は結ばれているのに、ヴァンサンテンは下半身から歯車に飲み込まれてしまうのだ。これは極めて残酷で衝撃的な描写である。ハリウッド映画のシナリオマナーから逸脱している。さらにはそれが予知したビジョンだったというオチがつく。このパロディセンスだけでも私はこの映画を支持したい。

(評価:★3)

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