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[コメント] 男と女の不都合な真実(2009/米)

新しいことはなにもしておらず、映画だけが娯楽だった頃のクラシカルな雰囲気がある。映画の再生産が成立するのはもはやアメリカだけだし、またそのことに自覚的なのがこの作品の価値である。
shiono

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







このジャンルのアメリカ映画につい最近まで見られたライフスタイルの提示であるとか、人間の本質が仄かに香るドラマ性といったものがこの映画には欠落している。

キャサリン・ヘイグルの古風なルックス(ポニーテール!)、あるいは彼女のアパートのシーンにおけるスタジオ撮影然とした照明の質感に、あえて狙った古臭さを感じる。猫を追って木登り、足場の枝が折れるという手垢のついたシーンが、ハリウッド映画史からフラッシュバックされたように見えるのだ。

ラスト前、ロサンゼルスのエピソードでは、ジェラルド・バトラーの過去の恋愛トラウマや、ヘイグルの自己発見といったキャラクターの掘り下げがあるが、ホテル廊下でのリアリスティックな対話をクライマックスとして、映画は再びブルーバック合成の気球ゴンドラシーンでハッピーエンドとなる。

数々の下ネタも、テレビドラマには不可能な、映画ならではの強みとして生かされているように感じた。だから安易な受け狙いとは感じない。何より主役二人の魅力的な表情がある。アクションスペクタクル大作だけに限らず、すべての映画は映画館の大画面で見るのがベストだという好例である。

(評価:★4)

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