[コメント] 伝染歌(2007/日)
年季の入った映画ファンを虜にする安定した語り口を見せてくれるのだが、そうしたファンが盲目的にスルーしてしまいそうなポジションにこの映画はある。結果、Jホラー目当てで見に来た観客から総スカンを食らってしまうのだ。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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位置付けとしては、女子高生を主人公とした青春ドラマ、自己発見の旅の物語であり、映画会社が喧伝するような猟奇ホラーではない。キャラ設定から受けた印象は『バウンス』『昭和歌謡大全集』『キューティーハニー』を合わせたような、虚実ないまぜの雰囲気だ。
女子高トライアスロン部、サブカルチャーマガジン編集チームといった、どちらもそれだけで一本の映画が作れそうな設定の中で、キャラクターが実に生き生きと動いている。伊勢谷友介のキャラなどは劇画的で少々気恥ずかしくなってしまうところもあるが、映画初出演のAKB48メンバーはみな素晴らしく、彼女たちの登場シーンである冒頭の教室での群像は豊かなリアリティに彩られている。
笑える要素もかなり多いが、「お約束」を外し、意外性へと転換させていく脚本も反骨精神を感じさせる。良質な台詞は現代娯楽映画の絶対条件だ。カット数の多さ、複雑なストーリー展開、キャラクターの造形など、日本の中からハリウッド・メインストリームを志向するという監督の意気込みを今回もたっぷり感じさせてもらった。
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