冒頭、自分のペースで喋り続けエリカ（ルーニー・マーラ）を完全に呆れさせ挙句怒らせるマーク（ジェシー・アイゼンバーグ）の描写がマークの性格を観客に印象付ける上で完璧である。「技術的には凄いのだろうが、人間としては相当欠陥まみれだな」というイメージを観客に植え付けている。そのため「フェイスマッシュ」というハーバードの女子学生の「美人番付サイト」を作る彼の思考回路について同意は出来なくても「ありがちだな」と理解はできるのではないか。その理解が本作全体において重要である。

その理解がなければ、それ以降の話がエキセントリックな人間が別のエキセントリックな人間と組んで、常識的な共同経営者を追いやるという身も蓋もない話に成り下がってしまうのである。最初の理解、そしてそれを何とか「中和」しようとするサベリン（アンドリュー・ガーフィールド）の存在を認識することで、一面冷酷なビジネスサクセスストーリーと大学生の青春物語の融合が成立するのである。その意味においてとても楽しめる作品であった。

なお、タイトル部分で書いた通り、時系列・舞台がかなり入り乱れて描かれるので鑑賞前に事実関係は頭に入れておいた方がより分かりやすい。必須ではないが、さっと予習することをおすすめする。

(2011.1.14 TOHOシネマズ上大岡)