[コメント] 男はつらいよ 寅次郎恋歌(1971/日)
「りんどうの花」論の深さ(後述)と森川おいちゃんと寅次郎の絶品のやりとり、そして寅次郎の「本気」な恋心の三点において、この作品はシリーズでも一、二を争う大傑作となっている(自分の中で)。「りんどうの花」論では
博の父がかつて旅先でみかけた「家族」を見て涙したという言葉の裏に、「家族」の理想的な姿と自分がもつ「家族」のよそよそしさの「ギャップ」に涙したという意味が込められていることに恥ずかしながら最近気づいた。
これは、このシーンのすぐ後に、とらやに帰った寅次郎の「りんどうの花」の受け売りのギャグがあるために、ついつい見落としていた。
博の母の葬式での、博が家族の中でひとり熱く語る様子と、どこか他人行儀で家族としての心の交流がなされていない博の父・兄弟の表面的な「家族」の姿を見せていることでも山田監督が本作で「テーマ」としていたのは「家族」なのだなと思った。
これらは当時から社会問題化されていたのであろう「核家族化」への疑問を投げかけていたように思う。
「男はつらいよ」という作品は時代を切り取りながら実にうまく日本人を描いているシリーズだと改めて思った。
2008.02スクリーン
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