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[コメント] 消えた天使(2007/米)

アンドリュー・ラウ監督作品ということで、期待するも、イマイチ。人と人の絡み合う場面が少なく、物語は暴力的なリチャード・ギア演じる捜査官の視点から進められていく。暴力捜査官を2時間見せられて、真犯人が現れても別段、映画的興奮が起きるわけでもない。
牛乳瓶

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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アメリカでは2分間に一人、女性や児童の性犯罪による被害が起きているとのテロップから本作は始まる。かつてはアメリカに滞在していたことがあるので、性犯罪の発生率が異様に高いのも知っていたし、大学の構内には「近所でレイプ発生」のようなお触れが常に掲示されていた様な記憶もある。そんな怖い国アメリカで18年間性犯罪者を監視し続けてきた捜査官が本作の主役である。それをインファナル・アフェアシリーズのアンドリュー・ラウ監督が撮るとどういった映画になるのか。非常に興味があり、楽しみにした。

ところが・・・

リチャード・ギア演じる捜査官は暴力捜査官であり、執拗に性犯罪を犯した人間を精神的に追い詰めていく、そんな嫌な奴だ。確かに、性犯罪者は再犯罪率が極めて高いと言うデータがあるそうだが、ギア演じる捜査官は出所してきた犯罪者を何度も訪問し、精神的に苦しめているようだ。事件の真相を解明するためには、罪のない元犯罪者を拳銃で脅し、脅迫する。そんなシーンに目を覆ったし、そんな人物の視点から物語を描いても共感する場面は少ないし、楽しめるはずもない。

登場人物を活かしきれてない演出のため、ギア演じる捜査官の後任のクレア・デーンズはギアの横で騒いでいるに過ぎず、ギアに何か影響を及ぼすわけでもない。『インファナル・アフェア』の時のように、人物と人物が結びつき、人物描写を丁寧に描いて、そこから浮かび上がる犯罪の恐怖を描いた方がのめりこむことが出来たのに。非常に残念である。

(評価:★3)

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