ダニエル（ダニエル・デイ・ルイス）良いですね。基本的に頑張ってるんですが、強迫観念に近いかたちで、労働（お金ではないよ）のしもべであり、晩年までボロ屋に住んでいた。そう、お金はそれほど重要じゃない。身を粉にしなければならない強迫観念、繋ぎとめておきたい。彼は寂しがりやだった。

弟と思った人の裏切り、血の繋がった異母弟の死、息子との決裂、でみせる動揺と哀しみ。人前では自分を必要以上に大きく見せるのに、一人でひっそりと、うずくまる。この不器用っぷりは、かなり好き。ダニエルが正しいかどうかは別として、好きですね。

イーライ（ポール・ダノ）は、もっと屈折したキャラクターで、気持ち悪かったです。ダニエルが労働のしもべであるのに対し、イーライは神のしもべではありません。神の力を利用して、他人を屈服させようとしている。しかも、本人には、神を利用している自覚がない。かなりアブナイ人なんですが、ダニエルとイーライは、お互いが気になるのか、突っかかりまくる。ダニエルの冷徹さから言ったら、興味の無い者は捨て置く筈であるから、よっぽど気に入らなかったのだろうと思います。構ってちゃんな所が、自分に似ていて自己嫌悪なのかなあ、想像が付きません。

とにかくも、二人の子供じみたバトルは面白かったです。イーライがダニエルに洗礼を受けさせる場面のムキになった二人と、ボーリングの騒動は撲殺直前まで、馬鹿だな〜、と笑いながら観ました。本当に面白かった。

すきなシーンも多かったです。人やバケツが、上下に動くような画は、全部良かったし、油井からでる黒い煙とオレンジ色の炎は圧巻でした。 それとは別に、 息子（ディロン・フリーシャー）が事故にあうシーン好きです。父親は、何より大切な油井を、すこしも見ない。 息子が寄宿舎から戻ってきて、父親にバチンと叩くも好きなシーンでした。