[コメント] アデルの恋の物語(1975/仏)
人を不快に慣れさせないための、漸進的に亢進する病理が、映画の時空間を巻き込み、それを信用におけないものにしている。騎乗演習中のピンソンをストークするアジャーニの移動距離から、瞬間移動的な違和感は始まり、
最後のバルバドス島に至るや、この島がハリファックスにねじり込まれているような見当識の障害に達する。アジャーニの身体は、もはや時空を担うことをあきらめ、不快の感覚は、バルバドス島の白っぽい土壁に沈み込む、黒ずくめのアジャーニという色彩の対比で表現される。修羅場での、怪獣映画然としたモーリス・ジョベールの劇伴は沸かしてくれるし、本屋(ジョゼフ・ブラッチリー)のエロ顔もいつものトリュフォーだ。
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