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disjunctiveさんのコメント: 投票数順

★3エスケープ・フロム・L.A.(1996/米)役者根性を試しにかかるこのコスチューム劇はラッセルをナルシシズムに憩わせない。劇中で幾度も自己言及される彼の体のバランスの悪さは、ルームランナー、グライダー、津波を通じて罰ゲームのように絶えず実体化される。 [review][投票(2)]
★4TENET テネット(2020/米)いい大人が眉間に皴を寄せてエントロピーだのプルトニウムだのと言葉を交わす罰ゲームのような安さ。セイリングでキレのない体を持て余すエリザベス・デビッキのタヌキ顔が全てをヒモのDV劇へ矮小化する。 [review][投票(2)]
★4サイレント・ランニング(1971/米)あらゆるカテゴリーを包括してきたニューシネマがSFという際物を持て余してしまう。志に撮影の質感が追い付かない安さは、70年代という文明の根源的な安さを検出せざるを得なくなる。だがその安さは帰属先を喪失した感動的な安さなのだ。[投票(2)]
★4イースタン・プロミス(2007/英=カナダ=米)コテコテのVシネにナオミ・ワッツの筋が絡むカテゴリーエラーの喜劇は、ヴィゴ・モーテンセンの怖気の振るうナルシシズムに帰着する。文体の模索はとうぜん試みられ、ナルシシズムはポルノの物的な迫力へと発展的に誤用される。 [review][投票(2)]
★4チワワちゃん(2019/日)薄弱者を憐れむ後ろめたさに苛まれる門脇には、それが知的優越感になっている自覚もある。この厭さを隠すためにムギムギが性欲の対象になって当事者性を獲得させる件は唐突で、結果としてラスボス浅野の価値観を超えるものを提示できず、 [review][投票(2)]
★4ニッポン無責任時代(1962/日)タイトルから連想されるような、高度成長期の夢ある緩さや明るいニヒリズムは微塵もない。内容はむしろジブリ映画に近く、植木等は化け物のような有能社員で猛烈に働き、重山規子との顛末からわかるように責任感の塊で、谷啓をはじめとする周りを幸せにする。 [review][投票(2)]
★4ケープ・フィアー(1991/米)ニック・ノルティが流石弁護士で、浮気がバレてもジェシカ・ラングを丸め込めてしまうし、ジュリエット・ルイスが一旦はデ・ニーロのマンガのような手管に籠絡されても、修羅場では知恵と根性を揮う。 [review][投票(2)]
★3爆裂都市 Burst City(1982/日)群衆統制としての戦争映画創作の営みが運動会に堕してこそ、意気地という男性性のセンチメンタルな発作が捕捉できてしまう。 [review][投票(2)]
★3スカイライン 征服(2010/米)割れ顎、メタボ、男性型脱毛症。B級映画の吹き溜まりのような面々の叫喚が地球の危機を密室劇へと矮小化するセンス・オブ・ワンダー。しかし、この不条理による筋の視界不良によって、宿命という不条理の根源が導かれるのである。 [投票(2)]
★4検察側の罪人(2018/日)“清和会”的センスを嫌悪するキムタクの書斎が何よりも悪趣味な設えなのである。正義の相互嵌入的な営みに言及する筋であるから一見して納得できる意図だが、参禅を始めとするキムタクの悪趣味について、作者が果たして自覚的なのかどうか。 [review][投票(2)]
★4エデンの東(1955/米)マッセイとダヴァロスの顛末だけを見れば、無能が滅びたとしか言いようがなくなる。もっとも、マッセイの無能さを薄めるために、レタス冷凍ネタがあるのだが。その彼が最後にやってしまうのがディーンの可能性を遮断することで後味が悪い。 [review][投票(2)]
★3江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間(1969/日)意図された稚拙と解釈するには叙述が深刻であり、意図の不在の脅かしを嗤いで耐えるのは不見識のように思え、感情を帰属させる試みは阻却され続ける。 [review][投票(2)]
★4人情紙風船(1937/日)美術の集積度が窮乏の豊饒さに至る撞着は人間の鋳型の次元へ翻案され、無能の執拗な定義づけを始める。シニシズムは不幸の圧縮と加速には加担せず、長十郎を翫右衛門と対比させることで、ダメ男が退治されるまたひとつの撞着した浄化へと向かう。[投票(2)]
★4女王陛下のお気に入り(2018/アイルランド=英=米)時代劇を共時的に語る矛盾がエマ・ストーンのIQから文化的背景を脱落させることで、政治の裏付けを欠いた野望が目論見を果たした際、何もやることがなくなるという寓話を達成している。 [review][投票(2)]
★4日日是好日(2018/日)感情を言葉で説明して寄りたいものに寄らずにはいられない具象化の力が、深みを剥奪しながら目論むのは、「時間化」という俗の極限であり、ジャンクフードのような豊穣が茶という究極の俗物趣味を迎え撃つのである。[投票(2)]
★4アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場(2015/英=南アフリカ)この手のモラルチョイスで想定される不作為の被害は数倍が相場である。しかし本作では数十倍になり、モラルチョイスの苦渋が希薄化されている。 [review][投票(2)]
★4竜二(1983/日)理屈で詰めれば事態が受容可能なのか危うい。男の甲斐性は堅気界でも互換するのではないか。堅気になって甲斐性を減じた男をむしろ女の方が見離さないか。その含みも確かにあるのだが、そうなると感傷は中和する。 [review][投票(2)]
★4ファースト・マン(2019/米)記録映画の叙述法にジャンル物の劇伴がミックスされる。叙述法ゆえに地上の環境音は豊饒だがエフェクトカットになると音の厚みがなくなる。その倒錯をもたらすのは理系サイコという感情のないものを感情で説明する試みの困難である。 [review][投票(2)]
★4ザ・タウン(2010/米)邪念が文化格差を無視する。レベッカとベンアフがつがいになるとは思えず、破局を迎えても未練が残らない。むしろジェレミー・レナー、ポスルスウェイト、クリス・クーパーの生き様の話であり、彼らの死体を踏み台にして花開くベンアフ自慰文芸である。 [review][投票(2)]
★4愛を読むひと(2008/米=独)文盲よりもアスペルガー症候の愚直さの方に感傷が期待できると思われるが、あくまで文盲にこだわりがある。ダフィット・クロスの熟女趣味同様、このあたりは隔靴掻痒であるものの、自習の件でようやく、このふたつが邂逅をなす。[投票(2)]