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disjunctiveさんのコメント: 点数順

★4マックQ(1973/米)抜銃すればベルトの上からこぼれてくる腹回りが男性性を否定にかかるのである。チェイスをやればポンティアック・トランザムのパワーに主体性を奪われ顔は常に窮乏する。追及を受けると子犬のようにウルウルしてかわすのはDV男の手管である。 [review][投票]
★4ビトレイヤー(2013/英=米)現場の体感に飲み込まれ統計の抽象に耐えられなくなったアマチュアリズムにハゲとヒゲのオッサンたちが滅私奉公というタームで目を潤ませながら気合を入れる。きっかけは個人の印象にすぎないから全貌には特筆すべき内容を見出せないが、 [review][投票]
★4サザン・コンフォート(1981/米)精薄の人々に気をやる博愛が被マンハントのつらみを自然による優生学の中に霧散してしまう。音響意匠は優生学に呼応して自然の喧騒を抽出せずにはおかないが、人の選別が終わるとこの意匠はケイジャン村の祝祭にのめり込んでしまう。 [review][投票]
★4君たちはどう生きるか(2023/日)同じ話をやるにしても、シアマの『秘密の森の、その向こう』が母の不穏に筋を運ばせるのに対して、こちらはわからなさが性欲の契機となる。少女の昂ぶりがわからない。好意の理屈のなさから作者の性癖が演繹されると筋はボンヤリとした官能に運ばれてしまう。 [review][投票]
★4ザ・バンク 堕ちた巨像(2009/米=独=英)全編に渡り放心するナオミ・ワッツの顔は、当人の感情を遮蔽するにとどまらず、オッサンたちが眉間に皺寄せ量産する人生の苦衷を真空ポンプのごとく吸い尽くす。が、彼女が退出して感情の遠心作用が消失すると、解放された男たちは取調室で哲学談義を始める [review][投票]
★4存在のない子供たち(2018/レバノン=仏)器質的な叙法を用いる啓蒙的態度にとってはその結婚があり得ないために、店主と妹をやや知的に問題のある枠に入れる。機能性を基準に人を描き分ける感性は保証人詐欺での人の変容を愉快に捕捉し、生体そのものである赤子への肉薄は虐待かと見紛うばかりだ [review][投票]
★4ブラック・クランズマン(2018/米)バーレスクの叙法が、類型にとどめられるKKK関係者にかえって造形的強度を与え、良識的な警官たちを絵空事に見せてしまう。作者の資質が図らずも野放図に共鳴するのはバーホーベン的である。 [review][投票]
★4さくらん(2007/日)少女の口や食べ方は汚いが、姿勢を崩すことはない。そこまでやると映画にならない。金魚鉢として自己言及されるこの緩やかさは、色彩という静物で動物を圧する以外に語る術を持たない映画の叫びであるがゆえに、悲恋にも構造的な弛みを及ぼしてしまう。 [review][投票]
★4フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法(2017/米)ウィレム・デフォーの徳と手際のよさが彼の境遇をミスマッチに見せる謎に呼応して、その機知は、不幸に対処すべく発動するために、災難の予兆と化す。このつらみは淘汰圧が男にもたらした栄光でもある。肉体という売り物が、母から生活力を奪い続けるからだ[投票]
★4犯罪都市 THE ROUNDUP(2022/韓国)脅威を適切に判定できない無能力が憎悪を駆り立てながらも、男には無謀に走らずにはいられない暗い情熱に自覚があり、その受動性が先に電話を切られる嘆きとなる。 [review][投票]
★4去年マリエンバートで(1961/仏=伊)状況に媚態で反応してしまう女。ガンギマリで暇をつぶす男たち。景物と絡むと下世話にしかならないカメラの挙動と大仰な劇伴は、下世話であるからこそ、女の科を捕捉してしまうと鷹揚と笑いを互換させる。[投票]
★4ジョン・ウィック:パラベラム(2019/米)下僚の鬱屈に同期しないと成り立たたない話だから、すべてはエイジア・ケイト・ディロンの挑発的な芝居にかかっているし、またそれに成功している。が、キャリア女性への加虐による倫理コードの抵触を恐れるために、遣り口が回りくどくなる。 [review][投票]
★4ビースト・ストーカー/証人(2008/香港)ニコラス・ツェーが真空のように災厄を引き寄せていく偶然の過剰は情実社会の密度を反映しているのだが、不幸の集中に比例して事態は逆に放散し先が見えなくなる。ニック・チョン宅の構造がわからないまま、夫婦の話が進行するように。 [review][投票]
★4河内カルメン(1966/日)野川由美子の天然を生活力へ置換する際、淡白が愛の信憑性と矛盾する課題が対生成される。男たちは引き際のよさで女の好意を恣にするが、あくまで引いてしまうのである。これに対応して佐野浅夫は別れの演技で恋心を本物にする。 [review][投票]
★4恋の渦(2013/日)友人を選べと背反する選択を迫られる。傍流として背反すべき選択を受容するややサイコ的な感性がある。不倫がかえって愛を実証すると男はいう。友人を選ぶ背反の先には友人と恋人の選択がある。しかし友人を恋しがる男を見て女は軟化する。 [review][投票]
★4スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム(2019/米)時折視点が合ってしまう。合ってしまうから逸らしてしまう。女の好意を小出しにして恋しさを煽る障害を案分する際に、少女漫画にとってのアメコミの異質性が利用されるだけではない。鬼神は少女漫画に引き寄せられ合理化され、礫岩的構成すら解消される。[投票]
★4スパイダーマン:スパイダーバース(2018/米)ジャック・タチ的な疎外された叔父たちの不穏を範例として、恋人や家族の喪失が次々と派生し明るい筋が陰翳を孕み続ける。その因果の感覚はMJとのすれ違いコントの哀感となり、コスプレ趣味の中年が衣装のまま頓死する醜態を晒すほどその人間類型は重い。[投票]
★4続人間革命(1976/日)あおい輝彦の色気が男を捕捉した。折伏はナンパ術となり、美青年を唆す古典劇に丹波演説は放縦する。教義の核心へ男を近接させるのは渡哲也の色気。その窮極にある仲代達矢のシェイブドヘッド。今や人間の生理に根拠を得た演説は朗々と昂じ始めSF化する。[投票]
★4震える舌(1980/日)発作によって緩急を管理するディザスタームービーの書式が症候を容赦なく記述していく。そのリアリズムは災厄に際した人間の根性を試しつつも、人をモノとして把握するために必要以上に人のドロドロに踏み込めず、かえって前向きな人間観と共振してしまう。[投票]
★4NOPE/ノープ(2022/米)オカルトという仇を見つけた。叛乱するチンプにトラウマがある。これら動物という自然への憎しみを多重のアイロニーが媒介する。オカルトを退治するのは被害者自身とその係累ではない。 [review][投票]