★4 | アフタースクール(2008/日) | 情報開示の驚きは重視せず、イベントに対するキャラの反応が彫琢してゆくアレゴリーの方へ受け手への感化を託した場合、救いの指標が不明瞭になるのはよくないと考える。 [review] | [投票(1)] |
★4 | 密告・者(2010/香港) | 不幸の重みに耐えられるよう鈍化したニックの所作に見所は薄く、あくまで職場放棄しない強盗団副官のハナ肇(パトリック・キョン)の美しさが引き立つばかりだ。しかし同情をおもねってやまぬアピールは、やがて受け手の嘲笑をドン引きへ落とすほど累積する。 [review] | [投票(1)] |
★4 | コクリコ坂から(2011/日) | ドヤ顔昭和30年代風俗観察に始まり、同種の認知を求愛行動のフラストレーションにして煽る下世話エンタメ。セクハラの概念がないことをいいことに、スキンシップしまくる理事長のオッサン。ことごとく品がない。それがうれしい。 | [投票(1)] |
★4 | 人生とんぼ返り(1955/日) | 安易に学習されるために行き場を失う感のあるリアリズムは、森繁の症例の劇画化へとメタ化し、リアリズムを表現するためにそれを捨てる。一方で、余裕の河津清三郎らは泥沼化した定義問題を酒の肴にしてはしゃぎ、受け手の情緒を引き締めてしまうようだ。 | [投票(1)] |
★4 | 神阪四郎の犯罪(1956/日) | 虚言癖だからこそ、生理的な形質が一定の閾値の収まらないと尤もらしさが出てこないと考える。その意味で、左幸子編の森繁は見世物として正しすぎるあまり、モチーフをぶち壊してしまう。今となっては金子信雄裁判長のほうがよほどこわい。 | [投票(1)] |
★4 | 息子のまなざし(2002/ベルギー=仏) | 一発芸の衝撃が文芸的課題の余韻を残さず、事を制度運用の欠陥というか、単にテクニカルな問題に還元するように見えた。こうなるとガン見せざるを得なくなるのは、バゲットサンドをシマリスのように頬張る福田康夫(オリビエ・グルメ)の愛らしき生態そのもののように思われてくる。 | [投票(1)] |
★4 | アジョシ(2010/韓国) | モテたくて仕方がないオッサンの欲望自体には咎がないのであって、欲望を隠蔽すべく社会派を衒い始めたとき、初めて邪念が誕生するのではなかろうか。 [review] | [投票(1)] |
★4 | 一命(2011/日) | 役所広司の中途半端な善人化の余波をかって一方的に糾弾される青木崇高一派に、『十三人の刺客』のバカ殿を偲ばせるような、意図せざる感傷の詩意を見る。三池らしい冷酷な通俗化である。 [review] | [投票(1)] |
★4 | マネーボール(2011/米) | 『シンデレラマン』と同じ問題を抱えている。相対する能力の分布の均衡が、一様性ゆえにほんの一押しで崩れて、労力がフィードバックした実感に乏しい。ジョナ・ヒルの文系全能感など『ソーシャル・ネットワーク』を超えるものだと思うが、早漏。 | [投票(1)] |
★4 | キングダム 見えざる敵(2007/米) | 何とも後ろめたいウルルン滞在記を紛らわすためには、クリス・クーパーや現地軍の怖いオヤジの姿態に横たわるような悠久たる人間愛に身を任せた方がよほど楽だと思うが、そこをあえて超人化した捜査員らの暴力の謳歌で応えるのはこれはこれで冒険だと思う。 | [投票(1)] |
★4 | カリートの道(1993/米) | ドジの応報性がパチーノの悲劇を緩和。他方で喜劇というには構成の欠けるショーン・ペンの文系暗黒面。代わりに、メタボや竹内力らの肉体や知性の特性を利用した空間の解囲劇が、いい年こいたオッサンたちの織りなす現場主義の悲痛を訴える。 | [投票(1)] |
★4 | 黄金の七人(1965/伊) | こんなに真剣に教授の幸福を祈っているというのに、このムッツリめ。教授の挙動への心理的接近を裏切るそのオプティミズムは、やがて受け手の女性嫌悪を糾弾し始める。 | [投票(1)] |
★4 | パニック・イン・スタジアム(1976/米) | 隊長ジョン・カサベテスのナルシシズム濃厚な薄笑いが、飛行船の非現実的な遊離感とともに、スタジアムを祝祭の場に変える。ほぼ全編に渡る壮大な死亡フラグが、絆を取り戻した人々の犠牲を個別的偶然に見せない。 | [投票(1)] |
★4 | 宗方姉妹(1950/日) | 失う物をなくした大人たちが陽気に爆弾を放り合う。殊に、死期の近いことをにこやかに語って周囲を脅しながらゾンビ化する笠の前では、せっかくの絹代と山村聰の肉弾戦も霞む。高峰への言葉責めも鬼畜。
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★4 | 英国王のスピーチ(2010/英=豪) | ヘレナ、嫁に来ないか。 [review] | [投票(1)] |
★4 | ヒア アフター(2010/米) | ジミー大西の魂を眺める享しみを可能にする技術的欺瞞は、暗愁も久しい彼の顔面に微笑が宿るに至り、造形の官能性で以て不毛な自然のスペクタルを圧倒する。その様子を宇宙の中心たる料理教室からシェフが牧者のようなまなざしで見守っている。 | [投票(1)] |
★4 | X-MEN:ファースト・ジェネレーション(2011/米) | 物語の自意識が恥への悦ばしい近しさを呼び覚ましている。それは男の友情に向けられた下世話な興味であり、コスプレに抗うリアリズムへの忠誠でもある。やがてヒールを一身に担うケヴィン・ベーコンの微笑みが物語のロジカルな自意識を溶かしてゆく。 | [投票(1)] |
★4 | 至福のとき(2001/中国) | 失業したオヤジどものユートピアと美少女の虐待観察の織りなす意識の起伏は、イーモウの夢見るサディズムがまどろむ揺りかごだ。 | [投票(1)] |
★4 | 娘・妻・母(1960/日) | ホームムービーで高峰を虐使するのは序の口で、それを嘲笑する形で原の人格を貶めるねちっこい私憤(=小津しね)。笠智衆の虐待を美談としてしまうラストに至り、私憤が人類不信を超えてしまうのも、感動しつつ混乱。 | [投票(1)] |
★4 | SP 革命篇(2011/日) | このまごうことなき堤のアイドル映画にあっては、香川の小物感がやはり不協和音。ところが、堤を制止すべく立ち上がった彼にフレームが寄った時、われわれはその余りの小物臭にかえって衝撃を受けてしまう。香川という造形的悲劇が世界の底に穴を開けたのだ。 | [投票(1)] |