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disjunctiveさんのコメント: 更新順

★3悪童日記(2013/独=ハンガリー)架空の舞台を裏打ちするべく凝縮された美術が物語の背景として定着せず分離している。人々の動機となる生活の艱難が豊饒な画面からは実感できず、もっぱら困難は言葉で説明されている。 [review][投票(2)]
★3めぐり逢わせのお弁当(2013/インド=仏=独)孤立の解消を謳っておきながら次々と叙述されるのはむしろ孤立が不可能な事態であり、誰も人間を放っておこうとしない。部下のホアキン・フェニックスの道化的な近しさなどはちょっとしたサイコパスに見える。 [review][投票(1)]
★3リスボンに誘われて(2013/独=スイス=ポルトガル)老人がロマンスによって同一性を回復する過程で作用する偶然が、自転車がぶつかるわ妹の喉が詰まるわで、あまりにも攻撃的であるから、こんなにモテたんだぜついでに俺もモテたぜというロマンスの感染力の話になっている。 [review][投票(1)]
★3FAKE(2016/日)神山典士の受賞パーティーもサイン会の現場も突撃してくる森達也を受容できてしまう。わたしはこの平和な感じが好きなのだが、業界人が馴れ合うさまは被写体の男を疎外して異邦人にする。 [review][投票(2)]
★3ザ・レイド GOKUDO(2014/インドネシア)キャラクターに付加する才能の分布が一様で皆等しく仕事が出来てしまい、無能という概念がない。後継者が無能という組織の継承問題が成立し難いのである。息子が才気走り過ぎた設定にしても、遠藤憲一組との力関係が曖昧なままにされては事の深刻さが伝わらない。 [review][投票]
★4ハドソン川の奇跡(2016/米)職業病というべきトラウマと失業の恐怖をブースターにした老人の譫妄が見せ物にはなっているものの、劇全体におけるこれらの役割が見えてこないために不可解でもある。 [review][投票(2)]
★4帰ってきたヒトラー(2015/独)事を社会小説化するとメディアの影響力に自惚れるような業界人の自慰に見えてしまう。劇中で受容されたところで八百長にすぎないから、男が受容されることの危機が醸し難い。 [review][投票(1)]
★3あの日のように抱きしめて(2014/独)天然夫婦であり、お目出度夫婦である。男がニーナに気づかないのは鈍感にもほどがある。気づきたくない機制が彼にあるのであれば、愛の終わりを察しないニーナがわからなくなる。 [review][投票]
★3インデペンデンス・デイ:リサージェンス(2016/米)前作のベトナム帰りのランディ・クエイドのパートが拡張されていて戦災の記憶が親子や友情の物語を暗く規定している。 [review][投票]
★3貞子vs伽椰子(2016/日)軽薄極まりない佐津川愛美が死に際してジュリエッタ・マシーナのような顔貌になったり、甲本雅裕の技術至上主義が勇敢さと互換したりと、状況に応じて造形が彫琢される。 [review][投票(1)]
★3メカニック ワールドミッション(2016/米)性犯罪者や工員に身をやつすとあまりの似合いようにステイサムの脱毛症と髭が正当化される偉さがある。 [review][投票(1)]
★4ほとりの朔子(2013/日=米)オッサン向け昼メロというべきハーレム状態を二階堂ふみが観測することで中庸を得ているように見えるのだが、それはタカシくんのアレもアレだらうと思わせる罪深い誤誘導であった。 [review][投票(2)]
★4日本で一番悪い奴ら(2016/日)銃の摘発がそこまで特権化してしまう理路がわかりづらい。摘発して得られる利得と銃調達のコストが見合っていない。語り手にも自覚があり、だからこそ摘発が強いられる背景は執拗に説明される。 [review][投票(3)]
★4ストーカー(1979/露)古戦場で右往左往しつつ草むらで昼寝して水辺で戯れる薄毛オッサン三人組の姿態を観察するアイドル映画である。 [review][投票(5)]
★4彼は秘密の女ともだち(2014/仏)アナイス・ドゥムースティエには自意識に汚染されていない少年のような屈託のなさがある。屈託のなさゆえに初見では平然とダヴィッドを変態扱いするのだが、すぐに全性愛の本能が発揮されてクローゼットの前でキラキラする。 [review][投票]
★3リザとキツネと恋する死者たち(2014/ハンガリー)カウリスマキの踏襲の割には劇伴が感情にリンクする高揚がない。リザの視点から話を構成するとモテすぎて困ったとしかならず、物語が解決すべき課題は寄ってくる男の方にそれぞれ設定されている。 [review][投票]
★3シビル・ウォー キャプテン・アメリカ(2016/米)その属性は生理的なものであって不可逆なのか。あるは後天的で機械力によるものか。この特性の分離が明確ではない、あるいはあえて混交しようとする。力に属人性がないと明瞭になれば社会派志向が装飾にすぎないことがわかってしまうからである。 [review][投票]
★4三姉妹〜雲南の子(2012/香港=仏)状況の切り取り方に恣意性があるのは当然だとしても、家族構成の不審に受け手の関心を誘導する手管が語り手の恣意を隠しきれない。後背のロケーションが広漠であるから、状況が切り取られていることが余計意識される。 [review][投票]
★4永遠の語らい(2003/ポルトガル=仏=伊)前編の定型詩のような構造がおよそ5分に一度、同じ状況を繰り返し、レオノール・シルヴェイラの衣装だけがその中で変化を引き受ける。状況が変わらないからこそ、この人妻のお着替えショーが屹立して扇情的となり、眠気がなかなか訪れない。 [review][投票(3)]
★4故郷(1972/日)民子物が倍賞千恵子のアイドル映画ゆえに、男はつらいよが潜在的に持っている近親相姦的な不穏さが、渥美清の間男的な配役によって本作では美事に露見していて、その緊張が全編を引き締めている。 [review][投票(1)]