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disjunctiveさんのコメント: 更新順

★4明治天皇と日露大戦争(1957/日)英雄的な挙動しかできない人々から微細な感情を見出すために、距離感のある叙法がアラカンの巨顔を誇張しストレスの兆候を精査する。この肉体主義は田崎潤の頸部を胴体に陥没させる。 [review][投票]
★4658km、陽子の旅(2022/日)菊地凛子は生体として逞しい人だ。漲る活力は観察しがいのある挙動を全編に渡ってもたらすが、完成体だから達成されるのは成長ではなく野性化であり、本来の自分に戻ったにすぎない。 [review][投票(1)]
★4風と共に去りぬ(1939/米)幼年期が強制終了しても恋愛ファーストがつづく錯誤は、事を郷愁として扱う政治的背徳に苛まれた無意識の産物だ。劣化した成熟は時にコミックリリーフとなりながらも、メラニーの聖性が夫婦漫才をついに恋の焦らしへ精製する。 [review][投票(2)]
★4ブレット・トレイン(2022/米)偶然の死に耐えられない男は因果律を仮構する。仕組まれた必然に報いるべく偶然はブラピに憑依して、人体と物体を浪費しながら己の事物化を図る。 [review][投票]
★3THE BATMAN ザ・バットマン(2022/米)貴族の自罰感情が、関与する人々の辛みを無効化する情念のブラックホールとなる。ペンギンのカーチェイスは意味をなくし、文弱をアピールする割には逞しい下顎部だけが確かな物証として残りキャットウーマンを骨抜きにする。 [review][投票]
★3戦慄怪奇ワールド コワすぎ!(2023/日)ポストコロナの風に吹かれ自嘲する昭和のモラルは市川の運動神経に政治的に許容できるセクシャリティを見出し、どつき夫婦漫才がセックスのアイロニーとなる。 [review][投票]
★4レイジング・ブル(1980/米)キャシー・モリアーティへの猜疑はヤクザ絡みで発動するように見えるが、ペシが猜疑心に呆れるように、ヤクザによる社会化の圧を逸らす処方になっている。 [review][投票(1)]
★3コーダ あいのうた(2021/米=仏=カナダ)災厄に応じてコロコロと怒り泣き歪むお顔が、エミリア・ジョーンズのアイドル化をいよいよ甚だしくし、階級脱出劇はますます嘘くさくなる。代わりに課題として浮上するのは笑顔で人の足を引っ張る恐るべき母の自立だが、 [review][投票(1)]
★4青い山脈(1963/日)芦川いづみの不感症を前にした二谷英明は顔を張られたという曖昧な物証に頼るしかない。感情は自らの外化のためにラヴコメ的スキンシップに邁進し、藤村有弘のプライヴァシーを侵害する。 [review][投票(1)]
★3RRR(2022/インド)最初から共通している利害が人を追い込む義理の仕込みを無効にしている。感情の裏打ちを失っている武力は、英国文官陣のサイズの合わない衣装のようにフワフワと滞空し、路上に撒かれる釘から始まって棘の鞭にエスカレートする無感情の暴力を滴らせる。 [review][投票]
★4アメリカン・ギャングスター(2007/米)各々のくやしさに思想の裏付けがあり、彼らの啓蒙思想は道具や振舞によって可視化されている。デンゼルとラッセルは思想的に互換するから、序盤でデンゼルの課題が解決しても啓蒙が侵されたくやしさはラッセル組に継承される。 [review][投票(1)]
★4一条さゆり 濡れた欲情(1972/日)感化を拒むのであれば批評は禁じられる。無意図を意図する他人事の仕草は間の悪さを構造化する。トランクケースの中で歌い出す批評精神は尿意の攻撃を受ける。その体液はトランクを自走させる揮発油となり、裸芸はステージではなく雑踏で本番を迎える。 [review][投票]
★4ヨーロッパ横断特急(1966/仏=ベルギー)固有の欲情がスクリプターの非情なダメ出しから逃れ続け、むしろダメ出しが性欲をフィルタリングして、素性を失ったトランティニャンの辛み顔がスケベの焦燥に読み解かれていく。天然の入った記録係に事態に気づく素振りはないが、 [review][投票]
★3ブラックハット(2015/米)性欲の霧に翻弄され恋の間合いを捕捉できないマイケル・マン節の好戦的な分解能は、オッサン大戦になれば一転して躍動する。性欲と刑務所ボケの不明瞭な境界に苛立ったのではなかった。性欲=ボケなのだ。 [review][投票]
★4マイアミ・バイス(2006/独=米)私情が仕事を侵犯する背徳感にコン・リーの視線は泳ぎ、ファレルの困り顔は超級公務員の皮に納まりきれなくなる。和歌山県警24時からカーセックスへ。安値を更新していく旅路は、しかし、寝取られた男たちの暗い情熱によって堂々たる昼メロに仕上がるのだ[投票]
★4ザ・クラッカー 真夜中のアウトロー(1981/米)男の手際は仕事にとどまらず、人生をも設計せずにはいられない。しかし夜な夜な交わされる人生談義は家族の予後を暗くするばかりだ。 [review][投票]
★4ダブルボーダー(1987/米)管理職の大人たちは孤立に耐えかね既に廃人に達している。意外な戦場で同族を見出した獣たちには一時の交歓が訪れた。居場所を抹消した彼らの集団的な顛末はペキンパーというよりは戦国自衛隊である。 [review][投票(1)]
★3ロング・ライダーズ(1980/米)ローカリズムを義賊行為の根拠にした強盗団を退治するのはブルーステートのそれである。この無思想はスロー濫用のヒロイズムを動物ドキュメンタリーの無感動で眺めながら、強盗の傍らで幾度も繰り返される男たちの求愛アピールに気まずさを効かせる。 [review][投票(2)]
★4こわれゆく女(1975/米)筋の成立は症状の亢進を前提とするが、最初から振り切れているジーナにはもはや演技の引き出しが枯渇している。活を入れるべく共同体体質のピーター・フォークがやたらと人を連れ込んでくる。 [review][投票(1)]
★4オフィサー・アンド・スパイ(2019/仏=伊)静物的なショットである限りベルエポック作家の室内画を引き写して構築された絵面は破綻しないが、筋が人のアクションを要求すれば時代感はたちまち崩れ、風俗の再現と事件の展開が背反する。 [review][投票]