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[コメント] クローバーフィールド HAKAISHA(2008/米)

凄い。これぞ待ち望んでいた特撮映画だ。 これぞエンタテインメント。つべこべ屁理屈を言ってないで楽しめ!(笑)
SAI-UN

19世紀末、リュミエール兄弟が初の映画興行(シネマトグラフ)を行った時、人々はスクリーンの向こうから迫って来る機関車に驚きパニックを起こしたという。映画の原点とは、つまりそういうことなんだと思う。

この映画を、ことばで「怪獣映画」と言ってしまうと、その言葉に足をすくわれそうで躊躇するのだが・・・。 これは単なる「怪獣もの」ではなくて、「怪獣」をネタに美味くアレンジされた(上手に計算された)ディザスター(大災害)体験ツアーだ、と言えるのではないか? 正直言って、これまで「怪獣映画の神髄は、やはり日本人にしか理解できない」とタカをくくっていた。 所詮、本土を空襲されたこともなく、原爆で実際に同胞が殺されたこともないアメリカ人に「ゴジラ」を理解することは出来ないのだ、と。だが、9.11.を体験したことで、アメリカ人もようやく「彼なりの怪獣」を手にいれた。ようである。

実際に、激甚災害の現場に「自分がいたら」どうなるか、その恐怖を追体験するための画期的な試みをクローバーフィールドは見せてくれた。明らかに「ブレアウィッチ・・・」と本作は違う。 本作は「映画」だ。それも、とんでもなく緻密に計算され、しかしその計算を観客に悟らせない。 ぐいぐい激甚災害の「現場」に見る者を引き込んで離さない。 ひたすら、主人公のハンディカムが捉えた映像だけで物語が進行。怪獣が出現した理由も、政府や軍の作戦状況も、そもそも街全体がどうなっているのかさえ「他の視点」「他者の主観映像」というものがまったくない。 みごとなまでに徹底した「割り切り」とでも言おうか・・・。 なるほど「この手があったか!」と思わず膝を打った。

初代ゴジラ以後、「ゴジラの謎解きや前作との辻褄合わせ」「本編と特撮の冗長な展開」そして何よりも「リアルさが希薄な映像と演出」に終始して、回を追うごとに駄作化の一途をたどった日本と対照的だ。 「エンドタイトル」になって初めて流れる映画音楽を耳にした時、 「君たちの国(日本)は、かつて素晴らしい特撮怪獣映画を作っていたのに、今はどうしちゃったの?」 とJ.J.エイブラムズに、そっと肩を叩かれたような気がした。

理屈じゃないんだ。「ジェットコースターのように、乗って、ただ楽しめ!」(笑)

HAKAISHAっていうのは「ちょっとセンスないな」と、まぁそんなことぐらいしか文句の着けようがない。 それくらい私にとっては「面白い」映画だった。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (7 人)るぱぱ Orpheus FreeSize[*] 空イグアナ TM[*] sawa:38[*] おーい粗茶[*]

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