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[コメント] 大列車強盗(1903/米)

舞台劇のような平板な構図と、遠近感を活かした優れた構図が、当然のように連なる生硬さには、やはり時代というものを感じはする。それにしても銃という物は、フレームの内と外の間に出来事を展開させる点では、優れた小道具(真似しちゃダメだけど)。
煽尼采

**ネタバレ注意**
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列車から下ろされて、線路に沿って並ばされる乗客たち。このショットがしばらく続くが、途中で客の一人が逃げ出そうとして撃たれ、他の客たちが踏み越えられない線路のこちら側に倒れる事で、構図に少し変化が加わる。時間経過や構図の為に人が撃たれる――それが映画の論理(笑)。

だがこの客は、盗賊から金品を巻き上げられた後に解放された他の乗客に介抱されるし、冒頭で殴られて失神した銀行員も、弁当を届けに来たと思しき少女に介抱されている。赤頭巾のような格好をした愛らしい少女が、銀行員の為に、神に祈ったり、水をかけたりと、大仰な演技であれこれする事で、このちょっとしたショットも飽かずに観られるものになっている。

このように、悪人に倒された人へのフォローが入る所に、当時の制作者の気遣いのようなものを感じる。尤も、最後に観客に向かって発砲するような野蛮な作品だが(笑)。

それにしても、やはり本作は、遠近感のある構図の巧みさを褒めたい。斜めに伸びる線路や道、或いは、列車の上に進行方向へ正面に向けて据えられたカメラの前で演じられる、遠近感を活用した活劇。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)けにろん[*] 赤い戦車[*]

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