[コメント] シティ・オブ・ゴッド(2002/ブラジル=仏=米)
社会的現実を見て取るかどうか別にして、視覚・聴覚を圧倒的に刺激しアップテンポのまま突きぬける様はまず純粋にクライムムービーとして完成度が高い。ブラジルが見せる華やかで高精度な技巧はサッカーだけにとどまらない事をこの映画は証明する。
元セレソンでスラム出身のロマーリオは「スラムの中は他のどんな所よりも安全だ」と語ったことがある。「だって誰も取られるものを持っちゃいないんだから、何もないから利害関係が成立しない。だから友情しか残らないんだよ」と。スラムが犯罪と貧困だけで片付けられるほど一面的ではないことを示す言葉だ。もちろん彼の話には「マフィアの抗争の時以外は」ということわりがつく。その麻薬と暴力が各年代の風俗を彩ったスラムの最も危険な部分を抜き出して、緩みがなく濃度の高い仕上げに導いた本作に、何か後ろめたい気持ちを感じながらも終始魅了された。
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