[コメント] ぐるりのこと。(2008/日)
大人になってからはじめて知った、秘密の数々。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
子どもの頃、大人のことがやたら汚く見えたりバカに見えたりした。私自身は、大人たちが酒を飲んだりしている席の話を横で聞くのがわりと好きな子どもだったけれど、それらの席で話される内容の薄さに、大人って・・とか、世の中って・・とか、世界のことを「見切った」気分になったりしていた。
あの時の感覚が不意によみがえる。兄夫婦の立ち居振る舞いや、裁判所に詰めている記者たちの馬鹿話、10万円の水を買う母親、「しっかりしていれば大丈夫」なはずの妻が病む姿に。
でも、子どもの頃のように嫌悪感を抱いたりしない。これが真実で、そして美しいから。大人であるということは、まずいトンカツを食べたり、なじまない親戚と食事したり、気持ちの通じない後輩に説教したり、与えられた仕事を黙々とやったり、妻にパズルを買ってきたり、逃げた父親に会いに行ったり、夫婦がただ一緒にいたりすることだ。
きれいはきたない。きたないはきれい。
橋口監督は、実生活でへこんだときこの映画の映像を繰り返し見るのだそうだ。
・・・そんな、きれいな映画だ。
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