公開時にコロナ直撃＆TVドラマ『チェルノブイリ』の対抗馬出現で不遇となってしまったが、福島原発事故を命を賭けて止めようとした人間がいた事実を映画にした功績は大きい。いい意味でプロパガンダの役割を果たしている、映画の正しい使い方と思う。演者もみなプロで満足。

本題から入る導入部から緊迫感あるシーンが続き、徹頭徹尾現場の混乱に次ぐ混乱。漂う絶望感は白眉もので非常に良い。視聴者が聞き取れないようなスピードでしゃべられるのも現場の混乱をよく表していてGood。ただ、ドラマが表面をなぞるだけに留まっており、ハッピーフライトみたいなお仕事ムービーに収まってしまった感は否めない。これなら、150分でもいいのでしっかりさばいてほしかった。

ラストは爽やかしすぎだろと思いつつ、福島スタートの字幕でため息。コロナでオリンピックは延期だし…とことんツイてない映画だ。