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[コメント] コラテラル(2004/米)

最低2回の鑑賞をおすすめしたい。100/100 ヴィンセントについて考察→
たろ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







夜のLAを舞台に、殺し屋を乗せてしまったタクシー運転手の悪夢というプロットが既にツボ。マン映画好きにはたまりません。

初回の時は確かに脚本の荒さが目立つが、鑑賞を重ねるとヴィンセントというキャラが見えてくる。彼はジャズ好きの冷酷な人間見あるプロの殺し屋なのだ。

麻薬課ファニングが過去に3人殺して自殺したタクシー運転手の話をしていたがこれはヴィンセントの犯行だろう。彼は過去に同様の手口で成功して今回もそのパターンでいこうと考える。それに当たったのがマックスだった。なので、彼がどんなにマックスに心情を吐露しようが最終的に殺す気だっただろうし、彼にデータを取りに行かせたのも成功すれば仕事を続けられるし失敗すればマックスは死んで自分はトンヅラすればいいだけだったからだ。時折彼に雑談を吹っかけるのはリラックスさせるためだけだろう、ヴィンセントの冷酷さが垣間見える。

タクシーを使えばレンタカーを借りたり、不意に警察に止められる事もない。客を装えばリスクは減る。マックスの見舞いのルーティンを破ればややこしい事態になり兼ねないなら時間を割いてでも病院へついていく。リスク回避にも全力でプロフェッショナル。皆さまも経験あるだろうが、手を抜くとのちのち倍以上の手間がかかるアレをヴィンセントは確実に回避してるのだ。

さらには冷酷と見せかけて時折見せる人間味。ジャズを聴く前とジャズバーでのご機嫌ぶり&殺害後に少し感情的になる様子。マックスへの嫌味の種を模索中にバッグを引ったくられる、ビル真っ暗にしたはいいけど自分も見えなくてウロつきまくる…彼は映画にありがちな『完璧な殺し屋』ではない。6年やってても間違いもおっちょこちょいも犯す人間なのだ。そう思うと愛着が増す。

ラストの対決の構図にも注目。真正面からの打ち合いだが、真っ暗な中での扉を挟んで同等の撃ち合い。冷酷な殺し屋 VS 愛する人を守る男。物理的な理由はさておき、どっちが勝つか…マンのロマンティックな一面が見えるシーン。そして、自分が死んでも世界は変わらないとばかりに地下鉄で虚しく死ぬヴィンセント。そのまま電車は走り続ける…。素晴らしいラストシーンではないか。感動したよ。

ここまで深読みしないと単なる脚本グズグズサスペンスに取られがちだが、2回目鑑賞前に上記をしっかり復習しておいてほしい。好感度はあがるはずだ、多分(笑)

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)ゆーこ and One thing[*]

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