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[コメント] ブラザーフッド(2004/韓国)

兄弟の事など知った事かと砲弾は突如炸裂し、人間はどんどん死んでいく。誰も止められない惨状の中で何とか人間性を保とうとしていく兄弟の姿に、なんともやり切れない気持ちになる。95/100
たろ

**ネタバレ注意**
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朝鮮戦争によって運命を変えられる兄弟を描いた戦争ドラマ。韓国映画界が本気度を伺える映画で、2000年以降の邦画界じゃ到底マネできないだろうな。(仮に作ったとしても登場人物はピカピカの軍服、CGまる出し、セリフ棒読み、どこかにジャニーズ、ダサい主題歌だろう)

焦点が韓国人にしか当たってないだとか、兄貴が不死身すぎとか色々意見があるかと思う。前者については『韓国人が作ってるんだからそりゃそうなりますよ』だし、後者は『映画ですから…』としか言えないけど。戦闘シーンは迫力ありすぎで疲れるし、長いし飽きるけど(特にラスト30分のハチャメチャぶり)、やりたい事は150分の中でしっかりやりきっていた。弟を家に帰したいための努力が弟の反発を生み、望まない亀裂が兄の狂気を増幅させる…でも、そんな兄弟の事など知った事かと砲弾は突如炸裂し、人間はどんどん死んでいく。誰も止められない惨状の中で何とか人間性を保とうとしていく兄弟の姿に、なんともやり切れない気持ちになる。

本作が狙っていたのは恐らくそこで、言わば壮大なバラードを聴かされてるようなもの。映像の迫力とドラマに感情は終始揺さぶられ、最後は泣かされましたよ。ベタだけど、韓国映画の上手いとこである。ドンゴンとウォンビンの熱演も上手く働いた。これだけ泣かせる要素があるなら音楽で盛り上げなくてもよかったよ。歯を食いしばりながら襲いかかってくる北朝鮮軍の方々もお疲れ様でした。

ディア・ハンター』や『プラトーン』をアメリカの被害妄想という観点で観る人は、本作は戦争史を利用した商業映画とみるだろう。観る人を選ぶ映画である。

(評価:★5)

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