[コメント] きみに読む物語(2004/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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「ひと夏の恋」で終わらせたっていいんじゃない?
・・・と思えるほど、若いふたりの恋の描写が軽すぎる。
平凡な人生を歩んできた平凡な男と、やたらとキーキーうるさいお金持ちの令嬢(これはこれで、いかにもお金持ちの令嬢らしくて良かったのだが)との、どこにでもあるようなラブストーリー。
痴呆症で過去を忘れてしまった妻に、夫は自分達の恋物語を読み聞かせ、少しでも思い出して欲しいと望む────この設定は素晴らしい。私も、この設定を聞いただけでオイオイ泣くつもりでハンカチを数枚準備して観に行った。しかし、肝心の二人の恋物語がこうも薄っぺらいと・・・。
むしろ、こういう出会いと別れを経て結ばれた、育った環境も価値観も違う二人が、時にはぶつかり合いながら徐々にお互いを認め合い、子供に恵まれて幸せな家庭を築いていく過程を描いてくれた方が、その後歳を取った二人に対し感情移入し易いのではないだろうか。
現在(歳を取った二人)のシーンは非常に良い。僅か5分だけ遠い所から戻ってきた妻との心の触れ合い、また妻が痴呆に戻った時の老ノアの哀しみの涙。そして「コーヒーを淹れて来るけれど、決しておかしな真似しないように」と退席する職員。この辺りの描写に、辛うじて3点。
が、ラストは納得がいかない。観る人の解釈によるラストなのかもしれないが、私はこのラスト、ある朝二人が一緒に死んでいたと受け取った。その必要がどこにある!?そうやって無理矢理観客を泣かせようとしなくても、優しく温かく、ちょっとだけ切ないエンディングで良かったのではないだろうか。
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