[コメント] チャップリンの 独裁者(1940/米)
「赤狩り」委員会の喚問に呼ばれたら、山高帽にだぶだぶズボン、ドタ靴はいて、ステッキ持って、出頭してやるといったチャップリンの心意気は、不滅だ。
一つの時代に生きるものとして、チャップリンが自らの信念にもとづき、そして、一人の映画人として、生きていく、ということを見せつけた一本ではないだろうか。
劇中、床屋のチャップリンが、「ハンガリー舞踏曲」にあわせて髭をそるシーンがある。非常にコミカルな動きを見せるチャップリンの卓越した職人芸である。
このシーンはただコミカルなだけではない。当時、ドイツ・ナチス政権は、「国力」強化のためには、生産性向上が必要と、国策として、軍需工場などで、この「ハンガリー舞踊曲」をかけて、音楽のリズムに合わせて仕事をさせれば能率が上がるのではないかと、実行していた。
この姿勢は、地球に見立てた大風船でうっとりしながら遊ぶ独裁者のシーンにも表われている。
そんなナチスを痛烈に批判し、そして笑い飛ばしてこそのチャップリンだ。
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