実際の事件については疎いので、ＦＯＸニュースやトランプ米大統領（映画の中では候補）が実在していることくらいは知っているが、登場人物のことはほとんど知らない。

公式ＨＰによると、主要登場人物のうち、マーゴット・ロビーは物語上の人物だが、シャーリーズ・セロン、ニコール・キッドマンが演じたキャスターはいずれも実在の人物で、その行動もほぼ本作通りらしい。

実在の女性キャスターのセクハラ・スキャンダルというと派手な印象もあるが、本作はけしてそんな興味本位のような映画ではないと思う。

映画としては出だしがいささかわかりにくいが、中盤以降、キッドマン演じるキャスターが訴訟に踏み切ったところあたりから、俄然、面白くなる。

実話かどうかということよりも、セクハラがどのような土壌から生まれ、どのように人間を踏みにじるのか、そして権力を持つ者が己の保身のために何をやろうとするのかを痛烈に描いて、見応えがあった。