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[コメント] ビリーブ 未来への大逆転(2018/米)

本作がどこまでアメリカの裁判の現実を反映しているかはわからないが、弁護士の重要な役割の一つに法理や判例に通じている以上に、どれだけ自分の主張を陪審員や判事に説得的にアピールできるかがあるのであれば、法廷ものが盛り上がり面白いのも道理である。
シーチキン

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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1960年代、ハーバード大法科でトップクラスの成績をおさめながら、女性だからとどの事務所でも採用されず、やむなく弁護士資格を有しながらも法科教授を選ばざる得なかった主人公が、初めて税法にある性差別の非をただすために法廷に立つ。

頭脳明晰な主人公が書き上げた「趣意書」は誰をもうならせるが、実際に法廷や裁判を経験してきた仲間からは、「それで判事を納得させ味方にできるのか」と危惧をされ、さらに肝心の依頼者の利益をどうするのかという問題もでてくる中で終盤のクライマックスにつなげる展開は、本当に上手で引き込まれるし、最後の逆転スピーチのシーンは特筆すべき出来映えだと思う。

この点で、アメリカ法廷ものとして上質なドラマで見応えがあったと思う。

ただ実在の人物が手がけた実在の事件を描くにはやや物足りないというか、描ききれなかった部分があったことも否めない。例えば主人公がなぜあそこまで「弁護士」にこだわったのか、「弁護士になって何をしたかったのか」があまり見えてこないし、それとの関係で原告の男性との関係も終わりの方でとってつけたような感じもした。本作はそういう事を承知の上で、実在の人物、裁判ではあってもあくまでドラマとして描いたということなんだろうなあ。

あと主人公を演じたフェリシティ・ジョーンズはとても良かった。凛々しく美しくとてつもなく魅力的で、本作を彼女の代表作と言っても良いのではないかと思う。

また本筋とはあまり関係なかったが、パーティーのシーンで税法専門家の夫アーミー・ハマーがスウェーデンの税法を例に引きながら「国民にどういう税のかけ方をするかに国の価値がある」みたいな台詞はなかなか印象的であった。そこだけ妙に現実味を感じてしまった。

(評価:★4)

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