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[コメント] ゼロ・ダーク・サーティ(2012/米)

クライマックスまでは実話とかどうこうに関係なく、スパイサスペンスものとして一級品の出来ばえで、リアルさと緊張感にあふれたスリリングな展開が楽しめる。
シーチキン

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







終盤の、クライマックスともいえる米軍特殊精鋭部隊によるビンラディン襲撃事件は、淡々と描いているが、国家間のルールも何もかも無視した、米軍による「押し込み強盗殺人」以外の何ものでもない様に見える。

パキスタン空軍が来るからとるもののとりあえず早く逃げようなんて、パトカーが来る前に逃げる強盗一味といったい何が違うんだか。殺害したから強盗殺人だが、生きたまま米国まで連れ去れば、誘拐とか拉致とかいう類のものではないの、これ。

おまけに家族のいる場で父親を殺害しておいて、幼い子どもに「父親の名前を言え」って。もう「てめえらの血は何色だぁっ」てくらいの鬼畜っぷり。こんなことしてたらテロなんて絶対無くならんだろうなあ。

クライマックスでは、そういうアメリカの傍若無人さとは距離を置くために敢えて、リアルさに徹して淡々と事実経過だけを追いかける映画にしたのかもしれないが、こういう映画をみて「テロとの戦いで勝った」とか「成果をあげた」とか浮かれてていいのかなと思う。

クライマックスまでの展開が、スパイサスペンスものとしてよく出来ているだけに、いくらクライマックスをこういう描き方にしてみせたところで、全体としてはビンラディンを殺してめでたしめでたし、という感じにしかならないんじゃないかと思う。

そういう点は疑問に感じつつも、映画としては良く出来ているから見てよかったとは言える。

(評価:★4)

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