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[コメント] スウィングガールズ(2004/日)

「一つの音楽、一つのスポーツ、一つの外国語を身につければ、人生が豊かで楽しいものになる」という言葉を聞いたことがあるが、音楽についてはまったくその通りだとしみじみと感じた。
シーチキン

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ストーリー展開は、ちょっと強引でご都合主義的なところもあるが、自分の意思で音を出すことの楽しさ、楽器を思い通りに操る楽しさ、人と一緒に演奏する楽しさ、人に聞いてもらう楽しさ、などなど、音楽することの楽しさについて、その第一歩から始まって、そこからさらに二倍、三倍へと楽しさが増していく、その一歩一歩がまさしく青春の一歩一歩だなあと、ほのぼのと、そして心地よく楽しい思い出として心によみがえってくる。そんな魅力にあふれた映画だった。

ラストのステージでのダイナミックな演奏はとってもカッコよくて、生き生きとした躍動感にあふれたものだったが、それ以上に私が気に入ったのは、雪に閉じ込められた電車の中で、演奏会に出れないのに、とすねていても、ラジオから流れるジャズにさそわれて、ついあわせて演奏する、そしてみんながそれに釣られて思い思いに楽器を操るシーンだ。

音楽の楽しさっていうのは、こういうときにこそ人生を豊かに楽しくしてくれるんだなあ、と改めて認識した。誰かに聞いてもらいたい、というのも大事なことだけど、音楽には誰かに聞かせるのではなく、自己陶酔であろうとなんであろうと、ただただ、自分が楽しむための演奏であっても、人生を楽しくしてくれるだけの力がある。

雪に閉じ込められても、演奏会に出れなくても、楽器を思い通りに操ってお気に入りの音楽を演奏すればそれだけも十分楽しい。そして一緒に演奏してくれる人がいれば、さらにそれを聴いて楽しんでくれる人がいれば、楽しさは二倍にも三倍にもふくらんでいく。

だから音楽室で最初の演奏で、まるっきりむちゃくちゃだったけど、とにもかくにも、みんなで一曲最後まで演奏し終わったら、思わず「いぐね、いぐねー!?」とつい叫んでしまうし、初めて楽器が音が出されば、なんだかそれだけでウキウキしてしまう。そういう楽しさに、思わず共感してしまうし、「そうだよなあ」と励まされる。

そういう文字通り、輝くドラマを描いた良質の映画だった。

(評価:★5)

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