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[コメント] プライベート・ライアン(1998/米)

スピルバーグが戦争について訴えたかったことは、最後まで解からなかった。だが、「今、生きている私たちの命は、多くの先人達の死の上に成り立っている。だからこそ、私たちは精一杯生きなければならないのだ!」、そんなメッセージが強く心に残った。
Pino☆

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 冒頭の凄惨な戦闘シーンを見たとき、これは戦争の悲惨さを訴える反戦映画なのだと思った。だが、ストーリーが進むにつれて、この映画は戦争をどう捉えようとしているのか、さっぱり分からなくなった。

 極端に邪悪な前線のドイツ兵と、哀しみを乗り越えて立ち向かう勇気あるアメリカ兵という設定は、余りに勧善懲悪すぎて、典型的なヒーローもののアクション映画を見ているような気さえした。

 偽善的と言われるかもしれないが、私は戦争映画には反戦を訴える義務があると思うし、そこに唯一無二の価値があると思う。そういう点でみると、この映画は、戦争映画本来の意義を明らかに逸脱している気がする。もっと言えば、戦争プロパガンダなのでは?とさえ思った(実際、退役軍人などから賞を貰っているし、1998年12月、アメリカはイラクが国連の査察に協力せず妨害したとして、軍事施設を中心に4日間にわたって巡航ミサイルなどによる湾岸戦争以来最大規模の攻撃を再び行ったりもしているので、そういう意図は十分にあったと考えても不思議ではない・・・)。危険な映画である。

 そういう意味で、この映画は戦争映画としては無価値に等しい。しかし、最後のシーンで、年老いたライアンが言う台詞を聞いたとき、「今、生きている私たちの命は、多くの先人達の死の上に成り立っている。だからこそ、私たちは精一杯生きなければならないのだ!」というメッセージが心に伝わってきた。私は、先人達というのは、戦争で戦って死んでしまった人達のことだけを指しているとは思わない。今日の我々の平和な暮らしを築き上げてくれた全ての人々が、これに当てはまると思う。

 普段、何の気もなく平和な暮らしを送っている我々は、ともすれば、先人達に感謝することを忘れてしまうが、この映画は、私にそのことを再認識させてくれた。

 というわけで、平和への願いを込めた反戦映画としては☆1つだが、ラストのメッセージに対して、☆4つとした。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (4 人)peacefullife らーふる当番[*] m ねこすけ[*]

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