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[コメント] 恋人までの距離〈ディスタンス〉(1995/米)

運命の人と出会うことは、幸せかそうでないのか。
きわ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







誰かと出逢い、たとえばその瞬間運命を感じたとしても、相手は初対面だしそんな大それたことなど怖くて言えない。もしかしたら、こんな風にこれ以上ないほどロマンティックな状況で、本当に人生の永遠の恋人に出会ってしまったら、「シチュエーションに酔っているだけだ」「一夜限りのもんだ」と考えてしまうほうが自然。むしろものすごい運命を感じてしまった分それをふいにしたくなくて、いつも以上に慎重になるばかりにこう考えるだろう。ある意味、これ以上ないほどアンラッキーな出会い方だと思う。

レコード屋で音楽を聴く間の、動いたりしゃべったりすれば壊れてしまいそうな繊細な間、路面電車の狭い座席の距離、髪の毛の動きと触れそうになった衝動、さよならを先に言っておくこと、公園で「綺麗な思い出のために」と誓いをたて、それを破ったこと、この日、二人がやってみた行動は、必ずその後の人生で輝き続ける。当人達にもその確信があるように思えるし、そう思えるほど切ない。どんなエンディングが本当に幸せなのか、彼らにも観てる側の人間にもわからないから。 その魔法を壊さないように、用心しながら、興奮を抑えながら、すこしずつ親密さと深さを増していく二人の会話を、主観と達観とスリルを持って見守り続ける。

もしかすると「運命の恋人」に出会う状況というのは、こういうものなのかもしれない。経験がないからよくわからないけど。出会っていた経験があったとしても、恐れる気持ちが勝ってしまって、自分で打ち消してしまったのかもしれない。どちらにしても、今となってはわからない。

余談ですが、ヒロインの着こなしが素敵。一日の話だからもちろん衣装も一式なんだけど、上着を腰に巻いたり、羽織ったり、インナーをはずしたり、さりげなく髪を結ったり、ちょっとした着こなしの変化などがステキで、「旅先でのおしゃれ」のお手本になる映画。「ローマの休日」と「フレンチ・キス」がトップ2でしたがこれで3本目になりました。(08/09/02 DVD)

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)煽尼采 ドド[*]

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