[コメント] 曽根崎心中(1978/日)
暴力描写の凄まじさや登場人物の性格の徹底性を見ても、これは間違いなく「映画」だし、傑作中の傑作だ。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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文語調の科白や増村独特の強い口調、大仰な所作の演出を見て「演劇的」だとか「リアリズムでない」とか、はたまた「歌舞伎的」と括ってしまうのは短兵急だろう。或いは今この映画を見ると、まるで大映テレビ制作のテレビドラマのように感じられるかも知れないが、いや、この増村の演出こそが大映テレビの礎を築いたのだ。暴力描写の凄まじさや登場人物の性格の徹底性を見ても、これは間違いなく「映画」だし、傑作中の傑作だ。
宇崎竜童も勿論よくやっているのだが、しかし梶芽衣子のヒロインとしての奇異さは飛び抜けているだろう。それは例えば観客に感情移入させるとかさせないとか、キャラクタに納得性があるとかないとかの世俗的な評価基準と全く隔絶している、孤高の映画的ヒロインだ。また、井川比佐志、左幸子、橋本功ら助演者の激しい演技も傑出している。特に橋本功の徹底的な嫌らしさは映画史的事件といっても云い過ぎではないくらいだ。
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