コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] たそがれ酒場(1955/日)

傑作。クレジット開けファーストカットは、もしかしたら日本映画史上最高のファーストカットかも、と思わせるぐらい素晴らしいものだ。酒場。テーブル上に置かれた椅子。その横移動撮影。
ゑぎ

 BGMとして「菩提樹」を唄う歌声が聞こえる。階下から男(小杉勇)がゆっくりと(まるで高速度撮影のように)階段を上がってくる。こゝまではドリーだと思ったが、カットの後半では上昇移動するので、クレーン撮影か。もうこのカットで、本作が傑作であることを信じて疑えなくなる。本作は多彩な登場人物が出入りする映画だが、真の主役は撮影者と云ってもいい。

 多彩な役者たち。クレジットでは、津島恵子野添ひとみと小杉が3人で出る。酒場専属の音楽担当(江藤と健ちゃん)は素人役者というのにも驚かされる。丹波哲郎とチンピラたち。丹波は野添に横恋慕している。東野英治郎の大佐と加東大介の軍曹や、宇津井健の登場も特別感のある演出だ。丹波と宇津井が、すぐに退場してしまうのが惜しい。それに比べて、もらい酒ばかりの多々良純、この人が出ずっぱりでよく目立つ。津島のストリップの場面では照明も担当する。

 チャイコフスキーの「悲愴」と「カルメン」の場面が、音楽シーンでは見事。

(評価:★5)

投票

このコメントを気に入った人達 (0 人)投票はまだありません

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。