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[コメント] 王将(1948/日)

伊藤大輔らしい凝りに凝った画面。殆どのカットが移動カットだ。「移動大好き」と呼ばれる所以。また、最初の将棋シーンから縦構図で見せる見せる。この映画、画面奥のフォーカスが外れている部分まで実にきめ細かく演出されている。
ゑぎ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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 そして、通天閣の見える長屋セットの素晴らしさ。汽車を見せずに汽車の煙だけを見せる映画センス。このシーンに登場するワンタン屋・三島雅夫がまた良い雰囲気なのだ。

 しかし私が最も興奮したのは目の手術シーン後字幕で8年飛んだ後、関根名人との対局で、いい加減な勝ち方をしたくせにニンマリおさまっている三吉を娘の三條美紀が責めるシーンだ。この激しく詰問する三條美紀の凛とした様良いですよ。また、怒って娘を追いかけた三吉が、鏡を見て我にかえる演出も良い。

 三吉を演じる阪妻は勿論のこと、その他にも忘れがたい俳優陣、三吉の妻・水戸光子、関根名人・滝沢修、新聞記者・斎藤達雄。三吉の弟子・大友柳太郎。それぞれが実に存在感ある良い仕事をしている。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (5 人)shiono ペンクロフ[*] ぽんしゅう[*] ジョー・チップ[*] OZU

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