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[コメント] 雪国(1957/日)

冒頭、汽車の窓に女の顔が浮かぶ。これが八千草薫で、本作の中でも、とびっきりのショットになっている。原作のあの有名な出だしだ。
ゑぎ

 汽車が駅につくと今度は待合室の窓にまるで呼応するように岸恵子が映し出される。私の記憶が確かならば、この駒子の登場は原作と異なるのだが、しかし激しく演出意図に納得するという次第。とにかく葉子と駒子、二人の登場カットはいずれも素晴らしい。この冒頭で豊田四郎の術中に引き込まれてしまう。ただし、悲しいかな以降このトップシーンを超えるような部分は出てこないのだが、それでも全体にかなり高水準の作品であることは確かだ。

 まず、岸恵子の駒子は多少の違和感はあるが必死の演技がよく伝わってくる。同時にとても可愛い。『おとうと』と甲乙つけがたい彼女のベストワークだろう。また、雪深い町の風景が、映し出される度に、目を瞠る。本作の雪の中のロケーション撮影の見事さも、特筆すべきだ。

・備忘でその他の配役を記す。

 旅館の女将は東郷晴子。主人は加東大介。女中で浪花千栄子。番頭は田中春男。他に多々良純。按摩に千石規子市原悦子が田舎芸者でコメディリリーフ。県会議員で森繁久彌が2シーン。駒子の置屋の師匠に三好栄子。八千草の弟は久保明。姉さん芸者は万代峯子。飲み屋の女給で中田康子浦辺粂子は駒子に「お母さん」と呼ばれる。

(評価:★4)

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