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[コメント] 主婦マリーがしたこと(1988/仏)

後期シャブロル(なんて分類をしていいかどうか分からないが)のスタートといった感の強い有名作なのだが、どうもエキセントリックなプロット展開が一般に受けただけで、シャブロルとしては、画面の愉悦の乏しい作品だと私には思える。
ゑぎ

 勿論、こゝでもシャブロルらしく、シーン転換はとても潔い。きびきび繋ぐ。しかしストーリを上手く運んでいるのだが、画面の驚きが希薄なのだ。それと、中盤の、子供が嫌いなのに夫を拒めなくて何度も妊娠している女、ドミニク・ブランのいきなりの登場と、子沢山な家庭描写は唐突過ぎて違和感があるのだが、ラスト近くの弁護士の登場も、同様にいきなり家庭描写から入るという変な繋ぎで、編集者のミスというよりは、ワザとやっているようなフシもあり、実験なのかも知れないが、とにかく上手くいっているとは思えない。

 ヒロインを演じるイザベル・ユペールは、本作では小憎たらしいばかりで、あんまり綺麗とも思えないのだが、目に涙をためる顔の演技は矢張り見事だ。彼女は歌が上手いという設定で(全然上手いと思えないが)、後半、レッスンを受けるシーンがあり、このシーンの導入部は、建物の外観からクレーンで上階の窓へ寄っていく移動撮影。こゝは印象に残る。その他役者では、前半でユペールと共謀関係となるマリー・トランティニャンがその押し出しのいいルックスもあり、印象に残る。あと、祭の日にガチョウの首を長剣で飛ばす、というあからさまな隠喩を体現しながら登場するニルス・タヴェルニエの、スケコマシぶりがいい。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)赤い戦車

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