[コメント] ファーザー(2020/英=仏)
映画の虚実、真実性についての映画。アンソニー・ホプキンスの認知の錯綜が、映画として、とても良い加減(いい塩梅)なのだ。錯綜は、人物、その発言、物(美術)、場所、時間などで発生する。
娘アンは、基本オリヴィア・コールマンとして具現しているが、時にオリヴィア・ウィリアムズであったりする。介護人ローラは、イモージェン・プーツと、ウィリアムズ。娘アンのパートナーは、いったいどっちの男なのか、いや、二人とも虚像なのだろうか。そして、ラストでオリヴィア・ウィリアムズは、もう一人の人物となる。あるいは、物置き部屋の戸の向こうに、病院の廊下がつながっていたり、朝かと思っていたら夕食前だったり。
最終的に劇中のアンソニーと同じように、我々観客も何も信じられない状態で放り出される。アンソニーともども突き放されるのだ。本作は、もうホラー・テイストと云って良いぐらいにスリリングでもあるのだが、私はこの厳しさには、ある種の爽快感を覚える。
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