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[コメント] 劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン(2020/日)

本作も原作未読、過去のアニメ化作品も全て未見の状態で見ました。なので、この映画一本に対する映画ファンとしての私の感想を書きます。実は、どういうジャンルのお話なのかも知らなかったため、こんな大メロドラマである、ということに一番驚きました。
ゑぎ

 もうちょっとバトルものの要素があるのかと思っていたのですが、それにしても、画面の美しさと演出の肌理細かさには驚嘆しました。画面の美しさは、見た人は誰もが感じるところだと思いますので、以下に、主に演出の繊細さで気に入った部分をあげます。

 まずは、人体の顔以外の部位で、感情を表現する演出が数えきれないぐらいある点。特に足元のカットが多数ある。ほとんどがヴァイオレットのふくらはぎ下のカットで、一歩もしくは数歩前後に動いて止まる、という表現。足以外にも、指切りやサムズアップ等の手の表現は勿論、胸元だけのカット、上着の襟(ドールのラペルピン)だけのカット等も含めて、非常にキメ細かく見せると思った。

 あと、シーンで特に気に入ったのが、夜、社長がヴァイオレットの部屋に訪ねて来、エカルテ島へ行くことを誘う、ローキーの場面。この暗さの表現は尋常じゃないレベルだと思っている中、ヴァイオレットの青い瞳が強調されるのだ。これにはドキドキした。また、エカルテ島へ着くと、ずっと曇天なので、雨が降ったら絵が汚なくなるんじゃないかと思っていたのだが、雨中の景色もとても綺麗なので、予想が覆された。例えばラスト近くの、海の浅瀬の青色のような、これ見よがしな美しさじゃない、こういう自然な美しさが好ましいと思う。

 さて、プロットを大雑把に分類すると、プロローグとエピローグのデイジーの話、メイン・プロットであるヴァイオレット(とギルベルト)の話、病院に入院しているユリス少年の話の3つに分けられると思うが、まず、デイジーのプロットは、全部カットしてもいい。勿論、この部分にも存在意義はあるが、もっとシンプルな演出で表現できるんじゃないか。また、ユリス少年にまつわる部分は、一番の泣かせどころなので、あまりハサミは入れられないかも知れないが、それにしてもユリスと友人リュカのクダリはやり過ぎ。キャラに対しても泣かせ過ぎだと思う。ユリスの弟のシーンもクドイ。こういった冗長な部分を刈り込んで、120分以内に収めていれば、尚良かったと思う。

(評価:★3)

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