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[コメント] シチリアーノ 裏切りの美学(2019/伊=仏=ブラジル=独)

ベロッキオにしては、ぶっ飛んだ演出があまりないし、観客を置いてけぼりにするぐらいの疾走感も感じられなくて、少々寂しいのだが、全編安定した出来ではある。ベロッキオの中では普通に面白い。
ゑぎ

 とは云え、冒頭アバンタイトル後のブラジルの荒れた海と砂浜、曇天の画面が、一般的イメージでのブラジルらしくはなく、やっぱり捻った造型なのだ。

 主人公・ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ(ブシェッタ)が拷問中、ヘリコプターに吊るされた奥さんを見せられる、っていうのも実録なのか。このシーンのBGMが「ある恋の物語」というベタな選択は誰の趣味なのかと思っていると、後半のカラオケで唄われるので、主人公の脳内再生だったのか(ウソ)。

 もう一つ、実話とするなら驚くべき場面が、服役中に娼婦を呼んだときの回想シーンだ。多分、マフィアの公権力への影響といったことに驚く人が多いのだろうが、私は、広い監房に主人公ら以外は存在しない、この画面造型のインパクトに驚くべきだと思うのだ。

 さて、逮捕されるマフィア達のニュースにモンタージュされる大量の鼠の映像。法廷の事前見学シーンで、収監者用の檻を見、檻の中にライオンを歩かせるフラッシュバックの繋ぎ(子供たちが小さい頃の、かつての盟友カロと動物園へ行った際の回想)。黒幕リアナの逮捕場面の、車で同じ場所をグルグル回るカットと、ハイエナの常同行動(檻の中を行ったり来たりする行動)とのカッティング。といったマッチカットというか、イメージ処理的モンタージュも相変わらず面白い。

 終盤は、さらに復讐や殺し殺されといったシーンがあるのかと期待したが、案外尻すぼみに終わってしまったという感覚が残る。こういうとき、実録モノだから仕方がない、とする観客も多いと思うが、私は、どうせ映画はすべからくフィクションなのだから、事実に多少(orいっぱい)盛ってもいいじゃなか、と考える。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)赤い戦車 シーチキン[*]

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