[コメント] パブリック 図書館の奇跡(2018/米)
これを見ると、エミリオ・エステベスはもっと純粋な活劇を演出すれば良いのに、と思ってしまう。
例えば、潔い暗転処理の呼吸。テイラー・シリング(アパート管理人)とのラブシーンが顕著だが、何度か素早いフェードを使ってくる。そしてなんと云っても、唯一あるバイオレンスシーンのスピード感、画面内で停止している人物の唐突な運動。見事な演出だ
キャラクタリゼーションで云っても、交渉人のアレック・ボールドウィンが、なかなか複雑な、懐の深い造型だし、シリングも肝っ玉のすわった感じがとてもいい。上に書いたバイオレンスシーンはボールドウィンの息子の場面だが、この青年の役割も意外性があるのだ。多くの観客は、騒ぎ収束の鍵になる人物だと、推測するのではなかろうか。あと、クリスチャン・スレイターは少々類型的悪役か。エステヴェスの部下の司書・ジェナ・マローンがエンディングまで絡む良い役で、とても可愛く造型されているのは嬉しかった。
ただし、帰結(収束)への持って行き方は、いまいちピンとこない。英米の映画でたまにある志向性だが、私はジジイの汚いケツを見せられてもゲンナリしてしまうだけ、と思ってしまう。でも彼等には、けっこう高揚感を感じる演出なんでしょうね。とは云え、映画館の中では、妙齢のご婦人の笑い声も聞こえてきたので、彼我の差、という訳ではなく、趣味の問題かもしれません。あと、極寒の表現もイマイチ。
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