以降良いシーン、良いカットはほとんどない。走る自動車の窓から撮った、横移動のミタメのショットで良いカットがあったぐらいだ。あるいは、セレーナ・ゴメスらが乗るポンティアック・ルマンのショットも良いと思う。あとはティルダ・スウィントンの混沌に輪をかけるキャラ造型もいい。

　コメディパートは、ほとんど空回りのジョークばかりと思える。特に、メタなやりとり、ラジオから流れるテーマ曲のクダリや、スクリプト（台本）に関する「ジムから全部もらった」「俺は自分の部分しかもらっていない」というクダリなんかつまんないし、ゾンビの生前への執着で、イギー・ポップとサラ・ドライヴァーのコーヒーなんて良いと思うが、WiFi、Bluetooth、Siriまでいくのはどうかと思う。また、ダイナーの現場確認の後、同じ科白を反復させるのも２人まででいいだろう。そして、矯正施設の子等３人の放りっぱなしも気になるが、私としては、それ以上に、ゴメス達とゾンビとの対決シーンが割愛されたのが残念だ。確かにこの繋ぎは、ジム・ジャームッシュらしくはあるけれど。