[コメント] 明日に別れの接吻を(1950/米)
裁判シーンからスタートし、証人の証言で話を運ぶというプロット展開の形式を取るが、この二重構造は、かなり中途半端だ。回想形式の良さが殆ど出ていない。これなら、ストレートに時系列に繋いでくれた方が、ずっと興奮しただろう。
唯一、キャグニーが、証言者の中にいないので、彼の登場の期待を喚起する効果ぐらいか。さて、そのキャグニーだが、本作の彼は、もうほんとに最強レベルの悪役だ。仲間達も、みんないつか彼に殺されると思ってしまう。それもさもありなんという怖さなのだ。『民衆の敵』以上の強烈さかも知れない。悪徳警官として、ウォード・ボンドとバートン・マクレーンのコンビが登場するのだが、中でも特に、このボンドはいつもと(フォード映画等と)比べても相当に貫禄のあるキャラクター造型なのだが、それでも、キャグニーの前では、恐怖に震え上がってしまうのだ。
ヒロインのバーバラ・ペイトンも、中途半端な造型だが、彼女の嫉妬の描き方は、映画的過剰さで良いと思う。本作のタイトルは、ラスト近くにペイトンがキャグニーに向かって云う台詞から取られており、そういう意味でも、かなりの儲け役だ。
#配役等の備忘
・刑務所から、キャグニーと一緒に脱獄しようとする男にネヴィル・ブランド。ギャグニーに比べると、ブランドも全く普通のキャラ。ペイトンはブランドの妹。ジンクスという手下はスティーブ・ブロディー。自動車修理工のメイソンはリス・ウィリアムズ。悪徳弁護士にルーサー・アドラー。富豪ドブスンの娘はヘレナ・カーター。父親のドブスンはハーバート・ヘイズ。
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