オランダ人女性建築家のインタビューで、「図書館の主役は人」と云う場面あたりが分かりやすい（大勢が感じ入る）ハイライトだと思うのだが、私は何よりも、街の通りのエスタブリッシング・ショット、通り名の標識（Ave、St）や、建造物の仰角なんかが、いちいち挿入されるリズム感が一番良い点だと思う。

　手話通訳者が同一テクストを二種類の手話で表現する場面は、もっと差異が出るのかと思ったが、それほどでもなく、肩透かしだ。素人の素（す）を撮っただけなのだから仕方がない、と思うのが普通だろうが、しかし映画なのだから、もっとちゃんと演出すればいいのに、と思うことも間違ってはいないと私は考える。