コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 仮面の報酬(1949/米)

こんな面白い映画をメキシコロケで易々と作り上げている(ように見える)のだから、矢張りドン・シーゲルは最初期から非凡だ。
ゑぎ

 これも、全体に話の運びの速さと唐突さが見事なのだが、まずは冒頭、船室でロバート・ミッチャムウィリアム・ベンディックスを殴るアクションの切れの良さに驚く。続くシーンで、ヒロイン=ジェーン・グリアや、悪役=パトリック・ノウルズ、警部=ラモン・ノヴァロらを筋に絡ませていく演出にも目を瞠る。さらに、エンディング近くのアジトの住人、ジョン・クォーレンも前半でチラっと登場させている、という周到さ(高価な仮面を車に積む男)。

 そして、中盤からの車での三つ巴の追いかけ合いが素晴らしい。チェイスシーンのスクリーンプロセス合成の使い方、その技術的達成度は最高レベルじゃなかろうか。実写カット(車が猛スピードで沿道や崖ぎりぎりを走り抜けるカット)と、運転席のミッチャム、グリアやベンディックスの背景の映像とが、完璧に整合しているように見える、といった、品質チェック目線でも感動するのだが、何よりも、他で見たことがないレベルのスリルが実現しているのだ(少なくもこの当時のスクリーンプロセスを使ったカーチェイスではこんなの見たことない)。また、この追いかけ合いの中で、道路工事作業者とのやりとりのような、ユーモア溢れるプロットを挿入してくるあたりも、ポイントが高い。いや、この道路工事がらみの場面はホントに笑えました。

(評価:★4)

投票

このコメントを気に入った人達 (2 人)赤い戦車 袋のうさぎ

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。