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[コメント] 日日是好日(2018/日)

美しい日本映画。クレジットバックは清流のイメージ。水のイメージは、庭の筧とつくばい、お茶を入れる際の、柄杓から注ぐ水や湯、あるいは雨、あるいは海岸のシーン、山の渓流シーンと度々描かれる。
ゑぎ

 また、水は音と一緒に演出される。音の演出では最初に袱紗の扱いを学ぶ際の、袱紗を張る「パン」という音なども含めて、気持のいい音の映画だ。

 黒木華多部未華子も職業生活や恋愛事情についてほゞ描かれない(というか、意図的に端折られている)のが物足りないが、これは選択と集中というやつだろう。であれば、多部の扱いが潔く、黒木の、失恋して落ち込み、駅のホームに座り込んで泣くシーンや、男性と幸せな表情で歩くカットなどは、中途半端であり冗長だと、そしるべきか。私生活が謎である点は、樹木希林も同様だが、ただし、樹木とその師匠との関係が、写真立ての古い白黒写真と、鶴田真由が語る樹木の結婚式のエピソードで構築されており、やはり、回想やフラッシュバックを用いないことの奥床しさが良く出たいい演出である。(私はてっきり、黒木の結婚式のシーンが来て、樹木が反復するのかと思ったのだが。)

 全体を通じて、樹木希林のしっかりした部分といい加減(臨機応変)な部分のバランスが見事だ。主人公は、はっきりと黒木なのだが、本作は、紛うことなく、樹木希林の映画。助演賞よりも主演賞が相応しい。

#フェリーニの『』のことが三度語られる。ジェルソミーナの真似まである。

(評価:★4)

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