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[コメント] モアナ 南海の歓喜(1980/米)

2014年のサウンド版を見た。舞台はサモア諸島。モアナは男性の名前なのだ。実は、これには吃驚。宣材写真の女性の名前かとずっと思っていた。この写真はモアナのフィアンセの女性で、名前はファンガセ。
ゑぎ

 ファンガセは上半身裸のカットも多く、美しい乳房が目の保養になる。『極北のナヌーク』でも上半身裸の女性のカットがあったけれど、実はこれらも、フラハティの指示だったりして、と思ってしまう。モアナが、木の根から出た水(さらさらの樹液)をファンガセの顔にかけ、二人して、無邪気にはしゃぐ場面が実にエロティックだが、このあからさまな暗喩も、演出だろうか。このような演技指導かどうかと疑う部分以外にも、例えば、皆で海辺へ歩いて行くシーンの超ロングショットなんかも、カメラと被写体の位置の段取りが透けて見え、作為性を感じる。

 《と、こんなこと(ヤラセ疑惑)ばっかり書いていますが、映画なのだから、別にいいと思っているし、私は、映画として面白くしようとする意志は、全肯定するスタンスです。ただ、記録しておくことは意味があると思っているのです。》

 さて、本作でも、イノシシを罠にかけて獲る場面で、ロープを引っ張り合いするモチーフが現れる。フラハティは綱引き好き。その他、サモアの習俗を描いた部分では、焼き石による朝食の準備風景(タロイモやココナッツミルクを、葉に包んで焼く)、モアナの弟が高いヤシの木に登って、ヤシの実を落とす場面、あるいは、ウミガメを捕獲する場面(カメを水に沈めて呼吸できなくするのだ!)なんかが興味深い。このあたりはノンフィクションだろう。

 そして、クライマックスは、モアナが成人するため(?)に全身に刺青を入れるシーンと、村人たちのダンスの儀式が、延々とクロスカッティングされる部分だろう。苦悶の果てにある解放の表現として、モアナとファンガセの二人のダンスシーンが繋がれる。これがまた、喜びに溢れた(ある意味、暗喩を感じてしまう)美しい画面なのだ。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)ぽんしゅう[*]

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