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[コメント] 勝手にふるえてろ(2017/日)

松岡茉優渡辺大知(二)との初めてのデート、クラブからホテル街のシーンでの彼女は、黒のストッキング。パンプスを履くカットから、タワーマンションのシーン、北村匠海(イチ)との最も重要なシーンは、白というか、明るいグレーのストッキング。中学時代、イチが残されている放課後のシーンは、紺色のハイソックス。
ゑぎ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 そして、ラストシーン、ラストカットでは、部屋着なので、ちゃんと足首から、ふくらはぎ下の素肌が見えている。このカットで、やはり、素肌の定着は画面を暖かくする、と思う。

 さて、冒頭、フィギュアのような金髪の女店員、趣里とのシーンから、もう既に、虚々実々の面白さに溢れており、一時も目が離せなくなるのだ。しかし、それにしても、イチに名前を覚えてもらってなかったと分かる、タワーマンションのバルコニーの後のギアシフト。金髪の女店員の種明かしから始まる突然のミュージカル。人々(マッサージ師・池田鉄洋、バスの乗客のおばさん・稲川実代子、駅員・前野朋哉、コンビニの店員・柳俊太郎、朝から晩まで釣りをするおじさん・古舘寛治)との関係性を明かす展開、こゝが一番。このギアシフトが白眉だ。昂奮して涙が溢れてしまった。その後も、部屋へ帰って、玄関口で泣き崩れ、カットを俯瞰に替えて上昇移動するカメラの突き放しにも、あっと驚く。ラストカットも、玄関口で抱き合う2人を、俯瞰の上昇でカメラは捉える。この反復にも、すこぶる満足感がある。

 また、箪笥の上のアンモナイトから、玄関ドアの正月のしめ縄へのマッチカット。その後、四角い顔の片桐はいりが作る丸餅、という円形の連鎖もキャッチするし、会社更衣室での強制午睡のシーンでの、不思議な照明の扱いや、横臥して足を閉じる所作の反復も面白い。そして赤い付箋の処女膜のメタファーには、女流ならではの感性に感動する。

 ただそれでも、もっと松岡茉優を見ていたかった。もっと長くていい、という無い物ねだりをしてしまうのだ。そういう意味では、物足りない。傑作というよりは、佳作という感覚を持つ。

(評価:★4)

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