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[コメント] 君の膵臓をたべたい(2017/日)

原作既読。見る前の事前情報として、小栗旬北川景子の役割ぐらいは聞こえてきており、実を云うと、また『世界の中心で、愛をさけぶ』の、あの改悪か、と思っていた。
ゑぎ

 というか、洋の東西を問わず、ここ数年の回想形式化の濫発には飽き飽きしているのだが、それでも見ようと思ったのは、ひとえに、多くの映画ファンがヒロイン桜良を演じる浜辺美波という女優を誉めそやしている点だった。いや、浜辺美波ですが、ルックスや表情の演技もさることながら、何と言っても声がいい。この映画、この人のナレーションで勝負が決まるような映画だと思うのですが、彼女の声が圧倒的に素晴らしい。

 また、撮影に関しても、とても面白く見た。全体に複雑な照明を凝らした画面の連続で、白い光が強調された、露光オーバーぎみのカットが多いのは気になったが(特に高校内は窓からの太陽光を模した照明で白い画面が多い)、志賀春樹(ヤな名前)−北村匠海が、桜良の家を訪ねる場面での土砂降りの雨の表現(部屋の中のローキー)等の対比も良く、光の扱いは面白い。また、たぶん、全てのカットが緩やかに動いているのも特徴的だ。途中で確認するのはやめたのだが、一見フィクスに見えるカットでも、とてもゆっくりとティルトやパンニングをしているのだ。この特徴は、撮影者(柳田裕男)のアイデアだろうか。同じ撮影者の、『カノジョは嘘を愛しすぎてる』でも、確認することができる。(ちなみに、脚本の吉田智子も『カノジョは嘘を愛しすぎてる』に参加している)

 さて、最初に書いた、小栗旬と北川景子について、もう少し書いておかない訳にはいかないでしょうね。簡単に書きますが、やっぱり、必要ないと思いました。小栗の役割は分からなくもないが、北川景子が全くいらない。この人が出てくると、映画が停滞する。また、小栗も、生徒−栗山へ思い出話を聞かせる、というシチュエーションはいくらなんでも胡散臭い。本当にどうしてこんなリスクヘッジ(人気俳優の登用)をかけるのだろう、と思ってしまいますね。小栗も北川も抜きにしてもらって、北村匠海と浜辺美波の二人に賭けて十分成功すると思うし、北村匠海と、恭子−大友花恋が墓参りするラストでいいじゃないか。

 さてさて、もう少しだけ脇役について書いておきたいことが。かなり印象に残った脇役が2人。一人は同級生役の矢本悠馬。このキャラ作りは面白い。この人なかなかやると思う。あと、最後に桜良の母親として、ほんの数カットだけ登場する長野里美。この人の泣き顔が素晴らしい。この泣き顔に私はやられました!(主要な映画サイトで長野里美がキャスト一覧から割愛されているのは不満です!)

(評価:★4)

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