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[コメント] 女っ気なし(2011/仏)

女二人のカットから始まる。母パトリシアと娘ジュリエット。主人公シルヴァンは本作では貸し家を管理している。母娘はヴァカンスだけの客。この3人の主要登場人物達の、登場カットのそっけなさがいい。しかし、全編に亘って、実に丁寧な、情愛にあふれた演出なのだ。
ゑぎ

 シルヴァンとパトリシアでは、草原の中の工場のような場所を2人で歩き、見晴らしの良い高台へ出た後、シルヴァンが告白したくてもできない、というじれったいシーンがいい。そして、ヴァカンスの最後の日の夜、シルヴァンの家にジュリエットが訪ねてくる場面。こゝの2人のやりとりが本作の白眉だが、ベッドに入ってからの演出も、2人が並んだだけの状態の俯瞰気味のカットに思いのほか力があり、驚かされる。

 あるいは、ロケーションを取り入れた演出も見どころに寄与する。海辺の町。砂浜。海水浴場。白い崖。海老採りなのか、網をもって海の中を歩く作業。そして、アパートのロケーションについても、2階にある小さなバルコニーがいいのだ。エメラルドグリーンのペンキが塗られた手すり。度々母娘が出てきて手を振ったりする。地上との高低差が出て画面に力が与えられる。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)けにろん[*]

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