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[コメント] ミッドナイト・イン・パリ(2011/スペイン=米)

パリの風景。シドニー・ベシェの「Si tu vois ma mere」がたまらない。この音楽をたっぷり聞かせて、風景カットを繋ぐ。黄色がかったルック。途中で雨のパリになり、夜になる。これがアバンタイトル。結局、こゝが一番いいんじゃないか、と思ってしまう。
ゑぎ

 クレジット開けはモネの睡蓮の池。現代のシーンは黄色の色調。ホテルの中も黄色い。1920年代の夜のルックはさらにオレンジ色。しかし、ルックの相違は、さほど無く、単に昼間と夜間の違いとも思える。このあたり、もっと変化を付けても面白かったのではないかと思ったが、暖色のルックはダリウス・コンジの特徴であり、ストラーロに撮影監督を変えてもアレン映画が継承している特色なのだから、ウディ・アレンの趣味なのだろう。

 そして、女性の対比もアレンの常套手段。レイチェル・マクアダムスマリオン・コティヤールレア・セドゥ。既存の恋人は、俗物のアホに位置づけるのも、いつも通りで薄っぺらいが、この作劇は、鉄板の面白さを生むということだろう。薄っぺらいということでは、夜の街角でのタイムトラベルが、クラシックカー(古いプジョー)に乗り込むことで行われ、現代に帰還する場面はほゞ描かれない、という納得性の乏しい造型も指摘できるのだが、このいい加減さが良さでもある。

 あと、音楽では「Lets Do It (Lets Fall in Love)」が、タイムトラベルした最初の夜のパーティ(コクトー主催らしい)でコール・ポーター本人によって唄われているのと、セドゥの店にオーウェン・ウィルソンが再度訪れるシーンでも流れており、印象に残る。この歌、洒落た歌詞が大好き。

(評価:★3)

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