コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 考える葉(1962/日)

戦時中の軍部も絡んだ隠匿物資をめぐるミステリー。本作も、服部時計店のカットから始まる映画。銀座の舗道を歩く髭面の鶴田浩二。いきなり、ショーウィンドウをぶっ壊す。なかなかインパクトのある始まりだ。劇伴は黒澤映画の佐藤勝みたい。
ゑぎ

 鶴田、警察署(丸の内署)に留置されるが、監房で一緒だった江原真二郎と仲良くなる。釈放後、江原は鶴田の家に泊めてもらう。鶴田には妹がおり、磯村みどりが演じる。この時点では、鶴田と江原が、二人で事件を解決するお話かと推測するが、ほどなく鶴田は退場してしまう。となると、磯村と江原の探偵物語になるかと思いきや、今度は磯村がいなくなるのだ。結局、江原が一人で事件に立ち向かうことになる。本作の一番良い点は、驚きがあるという意味でこの主人公の入れ替わりかも知れない。

 クライマックスは山梨県の笹子鉱山を舞台に展開する、坑道の中でのアクション場面になるが、結局、江原が大活躍する、というよりは警察によって解決された感が強く、イマイチ盛り上がらない。ただし、事件の黒幕側の人物、仲谷昇三津田健、そして柳永二郎の顛末は、なかなか見せる。特にラストカットの扱いは黒澤みたいと思った。『悪い奴ほどよく眠る』みたいだ。

(評価:★3)

投票

このコメントを気に入った人達 (0 人)投票はまだありません

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。