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[コメント] 現代インチキ物語 騙し屋(1964/日)

クレジットバックの、大阪駅屋上の電飾看板の裏側から、駅前交差点を撮ったカットが凄い!この出だしが一番驚いた。
ゑぎ

 その後の、沖縄から和歌山へ就職で出てきたが、スリにあって泣いている学生の場面に始まり、沢山のダマシの手口が曽我廼家明蝶(カマキリ)、伊藤雄之助(赤とんぼ)、船越英二(河豚)、丸井太郎(ちょこ松)、園佳也子(伊藤の内縁の妻・むつ子)、犬塚弘(胡瓜)らによって披露されて、息つく暇なく面白く見ていられる。しかも、どれも、バレるとか、捕まるというようなスリルは殆ど度外視されているし、せこい手口ばかりなのに、これだけ面白い、という点がエライと思うのだ。テンポの早さ、役者の口跡の鮮やかさは流石に増村演出だと思う。

 しかし、ラストは騙し屋たちが揃って、上町台地から大阪平野を見るシーンなのだ。あゝ、『貸間あり』でも夕陽丘の高台から低地を見るシーンがあったなぁと思ってしまう。藤本義一は、もしかしたら、川島雄三演出を想定(あるいは追悼)して書いたんじゃなかろうか。本作の公開は1964年1月。川島の夭逝は1963年6月。

(評価:★4)

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